クリスマスを控えたある日、ヒースウィックの町で連続爆発事件が起きた。主な原因は事故発生から半年を経ても明らかになっていない。クリスマスに娘が会いに来るのを楽しみにしている老人、一世一代の大葬儀を控えた葬儀会社の経営者、次期選挙を控えた不倫中の政治家、就職活動中の冴えない若者、そして……。ひとりひとりの登場人物たちの人生の一コマが、一分というものすごく限られた時間のなかに凝縮し、見事に描かれた野心作。
エレナー・アップデール
1953年イギリス南ロンドンのカンバーウェル生まれ。オックスフォード大学を卒業後BBCに入り、テレビとラジオの番組製作に携わる。子育てのために退職。以来さまざまな仕事に関わりながら、小説を書き始める。〈怪盗紳士モンモランシー〉シリーズでデビュー。他に著作として『最後の1分』『天才ジョニーの秘密』などがある。
杉田七重
(スギタナナエ )東京都生まれ。東京学芸大学卒。英米文学翻訳家。主な訳書にジェラルディン・マコックラン『世界のはての少年』、ドナ・バーバ・ヒグエラ『最後の語り部』、イヴリン・スカイ『ダムゼル 運命を拓きし者』、エドワード・ドルニック『ヒエログリフを解け――ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース』がある。