星雲賞受賞『移動都市』に続く
冒険SFの傑作、シリーズ第2弾!

『掠奪都市の黄金』
フィリップ・リーヴ/安野玲訳

●最新刊『掠奪都市の黄金』(12月刊)


 古代兵器メデューサの爆発でロンドンが炎上して二年あまり、元ロンドンの見習い史学士のトムは、恋人のヘスターと共に、思い出深い飛行船〈ジェニー・ハニヴァー〉を飛ばしていた。
 空中都市エアヘイヴンで乗客、冒険家のペニーロイヤル教授を乗せたふたりは、反移動都市同盟の戦闘飛行船に攻撃されてあえなく北の氷原に不時着。そこで移動都市アンカレジに拾われたことから、ふたりの運命は急転する。
 アンカレジを支配する美少女とトムの仲に嫉妬し、ひとり飛び立ったヘスターを待ち受ける罠。アンカレジに残されたトムにつきまとう、謎の少年……

 最終戦争で文明が荒廃した遙かな未来。都市間淘汰主義に則り、移動しながら食ったり食われたりを繰り返す都市と、それに反発する反移動都市同盟が争う奇怪な世界を舞台に逞しく生きる、トムとヘスターの冒険第二弾。星雲賞受賞の『移動都市』続編。


●星雲賞受賞作『移動都市』


 大きな都市が小さな都市をむさぼり、大都市同士が共食いする。世界は都市間自然淘汰主義に則って、移動しながら互いに狩ったり狩られたり、食ったり食われたりを繰り返す都市と、それに反発する反移動都市同盟とに分かれていた……

 トムは移動都市ロンドンに住む、史学ギルド見習いの孤児。久々にロンドンが獲物を追って疾走中だというのに、博物館で陳列品のほこり払いをさせられている。我慢できずに仕事を放りだして見物にゆき、おまけにけんか騒ぎまでおこした罰として、最下層での作業に追いやられてしまう。そこで出会ったのがあこがれの史学ギルド長ヴァレンタイン。しがない三級見習いに親しく声をかけてくれたばかりか、捕獲した町の解体作業の監視に同行させてくれた。天にものぼる心地のトム。だが、ギルド長の命を狙う謎の少女ヘスターを助けたことで、彼の運命は一変する。

 史学ギルド長ヴァレンタインの秘密、ロンドンの工学士たちが秘かに研究する古代の機械〈メデューサ〉、顔に傷のある少女ヘスターをつけ狙う、古代から生き残った金属の兵士〈復活者〉、そして必死で真実を探し求めるヴァレンタインの娘、心優しいキャサリン……

 最終戦争後の奇怪な世界を舞台に、たくましく生きるトムとヘスターの冒険を描く、傑作シリーズ第1弾。2007年度星雲賞受賞作。



(2006年9月5日/2007年12月5日)