異世界ファンタジーの新シリーズ開幕
ロビン・ホブ〈ファーシーアの一族〉
『騎士(シヴァルリ)の息子』上下

騎士の息子  物語の舞台は中世のヨーロッパを思わせる異世界。そこに〈技〉とよばれる、遠くを見、互いに意志を疎通させる不思議な力を持つ遠視者(ファーシーア)一族が治める六公国がある。沿岸に位置するベアルンズ、バック、リッポン、ショークスの四つの公国と、内陸のティルス、ファロウの二つの公国で成り立ち、そのうえに牡鹿城(バックキープ)に居をかまえる遠視者一族の王が君臨している。
 その国で世継ぎの王子の私生児として生まれた一人の男の子がいた。出自ゆえに庶子(フィッツ)と呼ばれるその子は母親の記憶をもたず、父は彼の存在ゆえに世継ぎの王子の地位を捨て、息子の顔を見ぬままに隠棲してしまう。顧みられることなく、犬や馬を友として厩舎で育てられていたフィッツだが、やがて祖父である国王の命令で密かに暗殺者としての教育を受けることになる。

騎士の息子  折しも長年の宿敵である外島人の赤い船団が、六公国の沿岸地域に頻繁に襲撃をしかけてくるようになった。赤い船団の捕虜にされた人々は、人間としてのいかなる感情も知性も失い、獣以下の存在となり果てて家族のもとに帰される。終わりのない襲撃と同胞を殺さねばならないという苦悩に公国は次第に疲弊してゆく。
 そんな六公国未曾有の危機を前に、これまで一部の王族以外には閉ざされていた〈技〉の訓練が再開されることになった。王子の庶子であるフィッツもようやく参加を許されるが、〈技〉の長はなぜか彼にむき出しの敵意をぶつけてきた。

 王家の影として生きる宿命を背負った少年の成長と試練。魔法と陰謀が渦巻く、壮大な異世界ファンタジーここに開幕!


真実の帰還 ■シリーズはこのあと『帝王(リーガル)の陰謀』(2005年7月刊)、『真実(ヴェリティ)の帰還』(仮)(2006年刊行予定)と続きます。降りかかるさらなる試練をフィッツは切り抜けることができるのか? 未曾有の危機を迎えた六公国の運命は? 読み出したらやめられない本格異世界ファンタジー〈ファーシーアの一族〉の世界にどっぷりと浸かって、至福のひとときをお過ごしください。

(2004年11月10日)


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