《ミステリ・フロンティア》 『アルファベット・パズラーズ』
大山誠一郎 (10月刊行)

 大型新人の記念すべきデビュー作となる〈ミステリ・フロンティア〉第九回配本『アルファベット・パズラーズ』の刊行に際し、まずは著者のプロフィールから御紹介します。
 大山誠一郎氏は1971年生まれ。京都大学在学中は綾辻行人・法月綸太郎・我孫子武丸・麻耶雄嵩各氏らを輩出した京大推理小説研究会に所属。2001年、ニコラス・ブレイク『死の殻』(創元推理文庫)の翻訳者としてミステリ界に登場しましたが、創作の念止み難く、2002年電子媒体〈e−NOVELS〉にて短編「彼女がペイシェンスを殺すはずがない」を発表します。この作品は年間傑作ミステリアンソロジーの『本格ミステリ03』(講談社)に収録されるなど、電子媒体での発表作品としては異例の高評価を受けました。本書はそんな大型新人が満を持して世に問う、本格的デビュー連作集となります。
 誘拐され、無残にも爆殺されたわたしの息子。犯人のひとりと目される人物が口にした〈Yという奴〉とは果たして誰のことなのか? 力作中編「Yの誘拐」ほか、「Pの妄想」「Fの告発」の二編を収めた、謎解きの魅力を遺憾なく示すパズラーの精華。洗練されたロジックと巧緻なプロットをお楽しみください。
(2004年9月10日)