主人公は妻に離婚され、娘は家出、老いた一人暮らしの父親とはうまくいっていない、しかも不摂生がたたって最近腹が出てきているという、なんだか踏んだり蹴ったりの40代の警部クルト・ヴァランダー。
1作目『殺人者の顔』ではスウェーデンの片田舎の村で起きた老夫婦惨殺事件を追った彼が、2作目の『リガの犬たち』では一転、スウェーデン南部の海岸に漂着した、身元不明の死体を乗せたゴムボートの謎を追って、バルト3国のラトヴィアの首都リガに飛ぶ。そしてさらに本作『白い雌ライオン』ではスウェーデンと南アフリカという地球の反対側ともいうべき3カ国にまたがる、恐るべき犯罪と対決することになる。
春の祭典を目前にしたスウェーデンの田舎町で、ひとりの不動産業者の女性が行方不明になったことからすべては始まった。良き妻、幸せな母、熱心な自由教会の信徒がなぜ突然消えたのか? 失踪か、それとも事件か、事故か? ヴァランダーらは彼女の足取りを追って、最後に見に行ったという売家へ急ぐ。ところが捜索中に、突然付近で謎の空き家が爆発炎上、焼け跡からは黒人の指と南アフリカ製の銃、ロシア製の通信装置が発見される。2つの不可解な事件の関連は? 調べれば調べるほど意外な様相を呈していく事件を追ううちに、ヴァランダーと娘リンダの身にも魔の手が……。果たしてヴァランダーは地球の裏側、南アフリカで進行する陰謀の真相を解き明かすことができるのか?