2001年度の創元推理三賞贈呈式ひらかる

第11回鮎川哲也賞「突撃!」まんがレポートはこちらから
 2001年9月28日、飯田橋のホテル・エドモント〈悠久の間〉にて、創元推理三賞の贈呈式が開かれました。
 3年ぶりの贈呈式開催だったにもかからわず、300人近い作家・評論家・編集者の方々の御出席をいただき、大変な盛会のうちに受賞が祝されました。

 すでにこのホームページでも御案内しましたとおり、第11回鮎川哲也賞は門前典之氏の『建築屍材』(応募時の『人を喰らう建物』を改題)、第8回創元推理短編賞は氷上恭子氏の「とりのなきうた」(応募時の「禽の亡歌」を改題)と決定しています。また第8回創元推理評論賞は、残念ながら受賞作がありませんでした。

 午後6時10分、三賞の贈呈式は、まず〈第11回鮎川哲也賞〉から執り行われました。
 受賞者である門前典之氏が登壇され、東京創元社社長・戸川安宣から賞状が、また鮎川哲也先生からコナン・ドイル像が、さらに前々回の第9回受賞者・飛鳥部勝則先生から花束が贈呈されました。また会場より、庵原直子さん(浜松のミステリ図書館「アガサ」主宰)より、代理の方を通じて恒例の花束贈呈が行われました。
 続いて選考委員を代表して島田荘司先生が登壇され、最終候補作について丁寧にコメントされました。「受賞作は歴代の鮎川賞のなかでも非常に高いレベルの作品。応募段階より、さらに磨きがかかったものになっている」と述べられました。

 また、じつに5年ぶりに受賞作の選出が果たされた〈第8回創元推理短編賞〉は、受賞者である氷上恭子氏が登壇され、小社社長から賞状と賞金30万円の授与と、さらに前回の受賞者である(第3回短編賞受賞)の伊井圭先生から花束贈呈が行われました。
 続いて選考委員を代表して有栖川有栖先生が登壇され、非常に高水準な作品で受賞作が選出できたと喜ばれつつ、受賞作について、「幻想的で残酷。ガラスケースに入った鉱物を鑑賞するような冷たい感覚」とコメントされました。

〈第8回創元推理評論賞〉は、惜しくも受賞作の選出は果たされませんでしたが、今年から審査員をつとめられる権田萬治先生が、「評論の波が高まっているとの意を強くした」と述べられ、選考経過および佳作2編について詳しくコメントされました。

 最後に乾杯の辞を、来賓の日本推理作家協会理事長・逢坂剛先生よりいただき、大いに歓談が盛り上がりました。

 受賞作『建築屍材』は2001年10月3日、小 社より単行本にて刊行されています。
 また短編賞「とりのなきうた」は、同じく10月3月に小社より文庫にて刊行された『創元推理21 2001年冬号』に掲載されています。この号には、評論賞の最終候補2編、「ウィルキー・コリンズから大西巨人へ――「探偵小説」再定義の試み」(石橋正孝)と「推理小説の形式的構造」(柳川貴之)も掲載され、三賞の選考経過ならびに各氏の受賞の言葉が掲載されています。あわせてお読みください。
(2001年10月15日)

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