判型:四六判並製
ページ数:350ページ
初版:2004年11月30日
ISBN:978-4-488-01520-6
Cコード:C0095
装画:武部本一郎「金星の火の女神」
装幀:岩郷重力+WONDER WORKZ。
●田中芳樹氏推薦――「ページをめくるごとに、別世界への扉が開く。はるかな旅の道づれに、この1冊をぜひ」
米国ファンタジー・ブームの立役者となった伝説的な編集者がつづった名著が、ついに本邦初訳なる! ウィリアム・モリス、ロード・ダンセイニにはじまり、C・S・ルイス、J・R・R・トールキン、ロバート・E・ハワードといった巨匠たちとその作品について、歴史を追って懇切にガイダンスする。資料的価値も絶大な、ファンタジー・ファン必携の1冊。訳者あとがき=中村融
■著者の言葉
「わたしが“ファンタジー”という言葉で意味するのは、科学にも超自然にも属さない驚異の物語だ。この種の物語の本質は、一語に要約できる――すなわち、魔法に。とすれば、ファンタジーとは、そのなかで魔法がじっさいに働く作品ということになる――おとぎ話でもなく、『ピーター・パン』や『オズの魔法使い』のように子供向きに書かれた物語でもなく、おとな向きに書かれた作品――心を刺激し、心を働かせる物語だ」
――リン・カーター(「序文」より)
*東京創元社創立50周年記念出版
*書評掲載:2004/12/23 朝日新聞
序文 想像力の帝国
1 ウルクからアタボールへ――ウィリアム・モリスと最初のファンタジー小説
2 世界の縁、そしてそのかなた――ダンセイニ、エディスン、キャベルの作品
3 失われた都、忘れられた時代――アメリカのパルプ雑誌におけるファンタジーの勃興
4 魔法の数字――〈アンノウン〉における空想世界ファンタジー
5 『ナイトランド』からナルニアへ――『指輪物語』への道
6 インクの子らが古典を生み出す――トールキンの業績とその影響
7 ハワード後の英雄譚――アメリカ剣士と魔術師ギルド(有)
8 若き魔術師たち――現代ファンタジーの巨匠たち
9 世界創造について――創作された環境に関する諸問題
10 地元の風習と名前――新造名についてのいくつかの考察
11 商売の秘訣――世界創造の中級テクニック
原注/書誌
訳者あとがき
読書案内/索引
リン・カーター
1930年アメリカ合衆国フロリダ州生まれ。幼少時から幻想文学全般の熱狂的なファンで、多くのファンジンに小説や評論を寄せた。57年に作家デビュー。アメリカの伝説的なペーパーバック叢書《バランタイン・アダルト・ファンタジー》シリーズの編集コンサルタントを務めた。1988年歿。邦訳された評論書に『トールキンの世界(ロード・オブ・ザ・リング 『指輪物語』完全読本)』、『ファンタジーの歴史 空想世界』『クトゥルー神話全書』がある。
中村融
(ナカムラトオル )1960年生まれ。中央大学法学部卒、英米文学翻訳家。編著に「影が行く」「時の娘」「星、はるか遠く」、主な訳書にウェルズ「宇宙戦争」、ウィンダム「トリフィド時代」、ブラッドベリ「万華鏡」「何かが道をやってくる」ほか多数。