第一次世界大戦前夜の英国。南アフリカから帰国し、退屈しきっていたスコットランド出身の青年リチャード・ハネーのもとに謎のアメリカ人が来訪する。数日後、彼は死体となって発見された。殺人の容疑をかけられ、追われる身となったハネーだが、ヨーロッパを世界大戦に巻き込む大いなる陰謀を知り、これを阻止すべく立ち上がる。そして追いつ追われつの大冒険に……。
スパイ小説の原点ともいうべき傑作がエドワード・ゴーリーの魅力的なイラスト入りで蘇る。
ジョン・バカン
1875年生まれ。スコットランドの小説家、歴史家、政治家 。大学時代から執筆活動を始める。1901年には弁護士資格を取得している。1915年に本書『三十九階段』を発表。同じ主人公リチャード・ハネーの登場する作品としては『緑のマント』、『三人の人質』がある。第一次世界大戦時には、タイムズの特派員としても活躍した。1927年には議員となり、政治家としてのキャリアも積む。1935年にはカナダ総督となり、在任中の1940年に落馬事故が元で死去。
エドワード・ゴーリー
1925年シカゴ生まれ。アメリカの画家、絵本作家。独特の韻を踏んだ文章と、独自のモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表し、多くの熱狂的なファンを生み出した。ミステリ・ファンとしても知られている。厖大な作品とミステリアスな人物像については『エドワード・ゴーリーの世界』(濱中利信編)、『どんどん変に… エドワード・ゴーリー インタビュー集成』(カレン・ウィルキン編、小山太一・宮本朋子訳)で知ることができる。2000年、心臓発作のため死去。
小西宏
(コニシヒロシ )1929年生まれ。東北大学法学部卒業、一橋大学大学院中退。訳書にベンスン『脱獄九時間目』、チェイス『悪女イヴ』、ガードナー『ビロードの爪』、ブラウン『未来世界から来た男』他多数。1998年死去。