【 最 新 刊 】
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■ 『捨て猫という名前の猫』樋口有介(2009年3月刊)
「秋川瑠璃は自殺じゃない、そのことを柚木草平に調べさせろ」
若い女の声でかかってきた月刊EYES編集部への奇妙な電話は、そう言って切れた。
それは一週間前に、〈女子中学生が飛降り自殺〉と新聞で小さく報じられた事件だった。
誰もが羨む美少女に、何があったのか――。
事件を洗い直す柚木草平は、ある真実を探り出す。
調査のために訪ねるのは、美少女に美女ばかりの青春私立探偵シリーズ。
『刺青白書』以来九年ぶり、待望の最新長編。
樋口有介(ひぐち・ゆうすけ)
1950年群馬県生まれ。國學院大學中退。数々の職業を転々としながら、88年『ぼくと、ぼくらの夏』でサントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。青春ミステリや、ハードボイルド味のある作品で人気を博す。主な著作は『風少女』『彼女はたぶん魔法を使う』『初恋よ、さよならのキスをしよう』『刺青白書』『林檎の木の道』『雨の匂い』『船宿たき川捕物暦』『月への梯子』『ピース』『夢の終わりとそのつづき』『不良少女』『初めての梅』など。
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■ 『辛い飴』田中啓文(2008年8月刊)
唐島英治クインテットの面々が遭遇した不思議な出来事や謎。
テナーサックス奏者・永見緋太郎の鮮やかな名推理は――。
ライヴ感溢れる文体が魅力の
《日常の謎》的ジャズミステリシリーズ、第二弾。
名古屋のライヴハウスに現れたという伝説のブルースマンにまつわる謎、
九州地方の島で唐島と永見が出合った風変わりな音楽とのセッションの顛末、
“密室”から忽然と消失したグランドピアノの行方、など七編を収録。
田中啓文おすすめのジャズレコード、CD情報付。
田中啓文(たなか・ひろふみ)
1962年大阪生まれ。神戸大学卒。93年「落下する緑」を『本格推理』に投稿し入選。編者の鮎川哲也に絶賛される。同年長編『凶の剣士』(刊行時に『背徳のレクイエム』と改題)が第2回ファンタジーロマン大賞に入賞する。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」が第33回星雲賞日本短編部門を受賞。ミステリ、SF、ファンタジーと様々なジャンルで活躍。近著は、『ハナシをノベル!! 花見の巻』(共著)、『蠅の王』『ハナシがはずむ! 笑酔亭梅寿謎解噺3』『落下する緑』など。
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■ 『平台がおまちかね』大崎梢(2008年6月刊)
自社本をたくさん売ってくれた書店を訪ねたら、何故か冷たくあしらわれ……、文学賞の贈呈式では、当日、会場に受賞者が現れない……!?
新人出版社営業部員の井辻くんは、個性的な面々に囲まれながら、波瀾万丈の日々を奮闘中。
本が好き。
でも、とある事情で編集部にはいきたくなかった井辻くんの、ハートフル・ミステリ。
〈出版社営業・井辻智紀の業務日誌〉シリーズ第一弾!
大崎梢(おおさき・こずえ)
東京都生まれ。書店で起こる小さな謎を描いた連作短編集『配達あかずきん』を2006年5月に発表しデビュー。同シリーズの長編『晩夏に捧ぐ』と、短編集『サイン会はいかが?』を続けて刊行。元書店員ならではの鋭くもあたたかい目線で描かれた作風が話題となる。他の著書に『片耳うさぎ』『天才探偵Sen 公園七不思議』がある。 |
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■ 『ヴァン・ショーをあなたに』近藤史恵(2008年6月刊)
下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マルのスタッフは四人。二人の料理人はシェフの三舟さんと
志村さん、ソムリエの金子さん、そしてギャルソンの僕。気取らない料理で客の舌と心をつかむ変わり者のシェフは、客たちの持ち込む不可解な謎をあざやかに解く名探偵。
近所の田上家のスキレットはすぐ錆びるのか? しっかりしたフランス風のパンを売りたいとはりきっていた女性パン職人は、なぜ突然いなくなったのか? ストラスブールのミリアムおばあちゃんが、夢のようにおいしいヴァン・ショーをつくらなくなってしまったわけは?……
絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ!
近藤史恵(こんどう・ふみえ)
1969年大阪市生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。93年、『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。人間心理の機微を描く筆力の見事さには定評がある。著作は他に『ねむりねずみ』『ガーデン』『にわか大根』『ふたつめの月』『モップの魔女は呪文を知っている』他多数。2008年『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞を受賞。 |
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■ 『シチュエーションパズルの攻防 珊瑚朗先生無頼控』竹内真(2008年6月刊)
大学入学を機に、叔母がママを務める銀座の文壇バーでアルバイトをすることになった了。
その店は、人気ミステリー作家・辻堂珊瑚朗先生ご贔屓の店だった。
普段は店のホステスにちょっかいを出しながら、バーボンと葉巻を楽しむサンゴ先生だが、
ひとたび不思議な謎に出合うと、鮮やかな推理をさりげなく披露する。
ミステリー作家は本当に名探偵なのか?
文壇バーで毎夜繰り広げられる推理ゲームと、サンゴ先生の名推理。
気鋭の作家が初めて挑戦する、安楽椅子探偵ミステリー連作集。
竹内真(たけうち・まこと)
1971年新潟県生まれ。慶應義塾大学卒。95年に三田文学新人賞、98年「神楽坂ファミリー」で小説現代新人賞、99年『粗忽拳銃』で第12回小説すばる新人賞をそれぞれ受賞。主な著作は『じーさん武勇伝』『自転車少年記』『カレーライフ』『ワンダー・ドッグ』『ビールボーイズ』など。翻訳作品として、ジョン・スタインベック『チャーリーとの旅』がある。 |
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■ 『謎の転倒犬 石狩くんと(株)魔泉洞』柴田よしき(2008年5月刊)
深夜のアルバイトを終えた僕が偶然出会った、厚化粧の女性。
なんと彼女は連日女の子が行列をなす、カリスマ占い師・摩耶優麗だった。
時を遡って過去を見てきたと嘯く彼女に、ズバリ言い当てられた僕の過去。
きっと何かカラクリがあるはずだ! ミステリ同好会の僕が必ずこの謎を解いてやる!
(株)魔泉洞に持ち込まれる不思議な事件を、鮮やかに解く、優麗の推理(占い?)。
そして石狩くんの受難をユーモラスに描いた本格ミステリ連作集。
柴田よしき(しばた・よしき)
1959年東京生まれ。 青山学院大学卒。 95年『RIKO−−女神(ヴイーナス)の永遠』で第15回横溝正史賞を受賞しデビュー。本格ミステリから、ホラー、ファンタジーなど多ジャンルで活躍する。 近著は『所轄刑事・麻生龍太郎』『小袖日記』『朝顔はまだ咲かない』『やってられない月曜日』。 |
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■ 『モザイク事件帳』小林泰三(2008年2月刊)
犯人当て、安楽椅子探偵、日常の謎、バカミス……
ミステリでお馴染みの七つの「お題」を解くのは
マッドサイエンティストに記憶障害の探偵、超天才殺人者!
一筋縄ではいかない狂った事件、犯人、探偵を
巧緻な論理で寄せ木細工(モザイク)のように組み上げた、
叙述トリックの名手としても知られる鬼才の真骨頂。
精密な論理が、そこはかとない黒い笑いを構築する
待望のミステリ連作集。
小林泰三(こばやし・やすみ)
1962年、京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」が第10回SFマガジン読者賞国内部門を受賞し、同短編を表題作とした2002年刊行の短編集では、第22回日本SF大賞候補作となった『ΑΩ(アルファ・オメガ)』に続き、第23回日本SF大賞候補作となる。ホラー、ハードSF、ミステリなど、幅広いジャンルで創作活動を展開している。著書に『密室・殺人』『肉食屋敷』『目を擦る女』『脳髄工場』などがある。 |
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■ 『吹雪の山荘――赤い死の影の下に』笠井潔・岩崎正吾・北村薫・若竹七海・法月綸太郎・巽昌章(2008年1月刊)
大晦日の夜、それぞれの思惑を胸に、吹雪の山荘に偶然集ったナディア・モガールたち。年が明ける直前、“幽霊山荘”と呼ばれる山荘で首なし死体が発見される。吹雪で周囲と隔絶されたなか、謎の究明に乗り出す名探偵の面々。首なし死体の謎、そして呪われた山荘の呪縛を解くことが出来るのか――
閉ざされた別荘村で巻き起こる殺人と陰謀に、ナディア・モガール、刈谷正雄、ブッキー、若竹七海、法月綸太郎ほか名探偵&ワトスン役キャラクターが挑む、本格リレー・ミステリ。
笠井潔(かさい・きよし)
1948年東京都生まれ。著作に『バイバイ、エンジェル』『探偵小説論』などがある。
岩崎正吾(いわさき・せいご)
1944年山梨県生まれ。著作に『探偵の夏あるいは悪魔の子守唄』『風よ、緑よ、故郷よ』などがある。
北村薫(きたむら・かおる)
1949年埼玉県生まれ。著作に『空飛ぶ馬』『スキップ』などがある。
若竹七海(わかたけ・ななみ)
1963年東京都生まれ。著作に『ぼくのミステリな日常』『心のなかの冷たい何か』などがある。
法月綸太郎(のりづき・りんたろう)
1964年島根県生まれ。著作に『密閉教室』『生首に聞いてみろ』などがある。
巽昌章(たつみ・まさあき)
1957年三重県生まれ。著作に『論理の蜘蛛の巣の中で』がある。 |
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■ 『奇談蒐集家』太田忠司(2008年1月刊)
【求む奇談!】新聞の片隅に載った募集広告を目にして、「strawberry hill」を訪れた老若男女が披露する不思議な体験談――鏡の世界に住まう美しい姫君、パリの街角で出会った若き魔術師、邪眼の少年と猫とともに、夜の町を巡る冒険……謎と不思議に満ちた奇談に、蒐集家は無邪気に喜ぶが、傍で耳を傾ける美貌の助手が口を開くや、奇談は一転、種も仕掛けもある事件へと姿を変えてしまう。夜ごと“魔法のお店”で繰り広げられる、安楽椅子探偵奇談。
太田忠司(おおた・ただし)
1959年愛知県生まれ。名古屋工業大学卒業。81年、「帰郷」が「星新一ショートショート・コンテスト」で優秀作に選ばれる。『僕の殺人』に始まる〈殺人三部作〉などで新本格の旗手として活躍。2004年発表の『黄金蝶ひとり』で第21回うつのみやこども賞受賞。〈狩野俊介〉〈霞田兄妹〉〈探偵・藤森涼子〉〈新宿少年探偵団〉など多くのシリーズ作品ほか、『ミステリなふたり』『月読』『甘栗と金貨とエルム』『五つの鍵の物語』など著作多数。 |
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■ 『三幕の殺意』中町信(2008年1月刊)
昭和40年――東京オリンピックが開催された翌年の、厳しい雪の訪れを間近にひかえた12月初旬のこと。水芭蕉の花で有名な尾瀬沼の湖畔にある朝日小屋、その離れで、そこに住む男――日田原聖太が、その年初めての雪の降り積もる夜、何者かの手で殺された。朝日小屋にはその晩、被害者に恨みを持つ男女が何人か泊まっていた。誰もが犯行は可能、と思われて、しかし犯人絞り込みの決め手はない。容疑者の一人に数えられると同時に神奈川県警のベテラン刑事、津村武彦によるアリバイ崩しが始まる。
『模倣の殺意』で長編デビューを飾る以前に発表された中編を基に、新たな趣向を盛って長編化された、中町信、7年ぶりの新作長編。
中町信(なかまち・しん)
1935年1月6日、群馬県生まれ。早稲田大学文学部卒。出版社勤務のかたわら、67年から雑誌に作品を発表。第17回江戸川乱歩賞の最終候補に残ったのが、初長編の『模倣の殺意』である。以降、叙述トリックを得意とし、『空白の殺意』『天啓の殺意』(3冊とも創元推理文庫刊)など、大がかりなトリックで読者を唸らせている。 |
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■ 『ルピナス探偵団の憂愁』津原泰水(2007年12月刊)
高校時代から、「ルピナス探偵団」として様々な事件に遭遇してきた、
三人の少女と少年一人。うち一人が二十五の若さで世を去った。
そして彼女が死を前に造らせた、奇妙な小路の謎が残された……。
第一話「百合の木陰」から時を遡り、
卒業式を目前にして殺人が起きたルピナス学園で、
彼らが受けた“祝福”を描く第四話「慈悲の花園」までを辿る。
逆回しの時間が紡ぐ、少女たちの「探偵」物語。
皆で謎を解いたあの日々は、
今も奇蹟のような輝きに満ちている――
津原泰水(つはら・やすみ)
1964年広島県生まれ。青山学院大学卒業。89年より津原やすみ名義で少女小説を多数執筆。97年、現名義で『妖都』を発表、注目を集める。以後、ホラー、幻想小説、ミステリなど、多岐にわたる分野で活躍。2006年、高校の吹奏楽部を舞台にした『ブラバン』が話題となる。他の著作に『蘆屋家の崩壊』『少年トレチア』『綺譚集』『赤い竪琴』『ピカルディの薔薇』『ルピナス探偵団の当惑』などがある。 |
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■ 『タルト・タタンの夢』近藤史恵(2007年10月刊)
カウンター七席、テーブル五つ。下町の片隅にある小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルのシェフは、十年以上もフランスの田舎のオーベルジュやレストランを転々として修行してきたという変わり者。無精髭をはやし、長い髪を後ろで束ねた無口なシェフの料理は、気取らない、本当にフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。
そんなシェフが、客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎をあざやかに解く。
常連の西田さんはなぜ体調をくずしたのか? 甲子園をめざしていた高校野球部の不祥事の真相は? フランス人の恋人はなぜ最低のカスレをつくったのか?……
絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ!
近藤史恵(こんどう・ふみえ)
1969年大阪市生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。93年、『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。人間心理の機微を描く筆力の見事さには定評がある。著作は他に『ねむりねずみ』『ガーデン』『にわか大根』『ふたつめの月』『モップの魔女は呪文を知っている』『サクリファイス』など多数。 |
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■ 『女王国の城』有栖川有栖(2007年9月刊)
舞台は、急成長の途上にある宗教団体〈人類協会〉の聖地、神倉。
大学に顔を見せない部長を案じて、推理小説研究会の後輩アリスは江神二郎の下宿を
訪れる。
室内には神倉へ向かったと思しき痕跡。様子を見に行こうと考えたアリスにマリアが、
そして就職活動中の望月、織田も同調、四人はレンタカーを駆って木曾路をひた走る。
〈城〉と呼ばれる総本部で江神の安否は確認したものの、思いがけず殺人事件に直面。
外界との接触を阻まれ囚われの身となった一行は
決死の脱出と真相究明を試みるが、その間にも事件は続発し……。
入れない、出られない、不思議の〈城〉
江神シリーズ待望の書き下ろし第四長編
有栖川有栖(ありすがわ・ありす)
1959年大阪市生まれ。同志社大学法学部卒業。1989年『月光ゲーム』でデビュー。
2003年『マレー鉄道の謎』で第56回日本推理作家協会賞受賞。『孤島パズル』『双頭
の悪魔』『山伏地蔵坊の放浪』『ロシア紅茶の謎』『乱鴉の島』『幻想運河』『虹果
て村の秘密』『作家小説』『赤い鳥は館に帰る』『有栖の乱読』等、著書多数。本格
ミステリ作家クラブ初代会長。 |
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■ 『サニーサイドエッグ』荻原浩(2007年7月刊)
フィリップ・マーロウに憧れる私は、むろん私立探偵である。
が、やむなく、失踪したペットの捜索を請け負うこともある。
ある日、和服を着た若く美しい女性が事務所を訪れてきた。
ペット捜しならもう――
「うちの猫を捜してほしいんです」はい喜んで。一カ月ぶりの仕事ではないか。
しかもそうこうするうち、なんと「ブロンドで青い目の若い」秘書まで雇えることに。
え、な、なんだこいつは!?
おまけに猫捜しも、ただの猫捜しではなくなっていくのだった……
『ハードボイルド・エッグ』続編。最上俊平ふたたび!
荻原浩(おぎわら・ひろし)
1956年生まれ。広告制作会社勤務を経てフリーのコピーライターとして活躍。97年に
は『オロロ畑でつかまえて』が第10回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。そ
の後、ユーモア・ハードボイルドの傑作『ハードボイルド・エッグ』や、渡辺謙主演
で映画化された第18回山本周五郎賞受賞作『明日の記憶』などで注目を集める。ミス
テリやSF、ホラー系のジャンル小説から一般文芸までをこなす幅広い作風や、抑制が
効いて機知に富んだ文体、そして行間から滲み出る良質なユーモアと哀歓は、多くの
熱狂的なファンに支持されている。 |
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■ 『騙し絵の館』倉阪鬼一郎(2007年3月刊)
過去に怯えながら瀟洒な館でひっそりと暮らす少女。過剰なまでに彼女を守ろうとする執事。そして頑なに作品の刊行を拒むミステリー作家。
連続少女誘拐殺人事件が勃発するなか、謎めいた彼らの秘密が少しずつ明かされる。
張り巡らされた大量の伏線に、倉阪鬼一郎は何を仕掛けたのか? 幻想的な館を舞台に描かれた、詩情溢れる野心的本格ミステリ。
倉阪鬼一郎(くらさか・きいちろう)
1960年三重県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。87年に短編集『地底の鰐、天上の蛇』でデビュー。印刷会社勤務等を経て、98年より専業作家となる。ミステリ、ホラー、幻想小説と、その作品分野は多岐にわたり、独特の作風を確立している。著作に『百鬼譚の夜』『赤い額縁』『田舎の事件』『無言劇』などがある。翻訳家、俳人としても活躍。 |
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■ 『オモチャ箱 安吾探偵控』野崎六助(2006年12月刊)
闇屋の一党に捕らわれた令嬢を救い出すために、降霊会の行われている屋敷に乗り込んだ魔矢と巨勢少年、カストリ記者の片倉だが、なんとそこでは殺人事件が勃発していた。殺されたのは屋敷の主人。そして床には短剣を握ったまま倒れている作家・坂口安吾の姿が! 肝心の令嬢は失踪しており、霊媒師と被害者の妻も行方がわからない。そんな中へ飛び込んでしまった巨勢少年ら三人は、俄かごしらえの探偵団として事件の調査に乗り出す破目に。
当夜の記憶が一様に曖昧な降霊会参加者たち。あやしげなからくり人形。噂される贋安吾の存在。その屋敷で、いったい何が起こったのか? 著者渾身の長編本格推理。《安吾探偵控》三部作完結編。
野崎六助(のざき・ろくすけ)
1947年東京生まれ。多岐に亘る評論活動を展開し、92年には『北米探偵小説論』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。また94年には『夕焼け探偵帖』で小説家としてもデビュー、『煉獄回廊』『安吾探偵控』『風船爆弾を飛ばしそこねた男』などのミステリを執筆している。 |
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■ 『オランダ水牛の謎 安楽椅子探偵アーチー』松尾由美(2006年10月刊)
上海生まれの、口をきく、正真正銘の「安楽椅子探偵」アーチーと、小学校6年生の及川衛との交流を描く、シリーズ第2弾。名推理を働かせるアーチーと衛少年が今回挑むのは、エラリー・クイーンよろしく〈国名シリーズ〉の謎。
誰もがあっと驚く舞台設定とユーモアに、本格味溢れる謎解きが加わった心安らぐ連作集。
松尾由美(まつお・ゆみ)
石川県金沢市生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒。1989年『異次元カフェテラス』を刊行し、91年には「バルーン・タウンの殺人」がハヤカワSFコンテストに入選。ほかの著作に『バルーン・タウンの手品師』『バルーン・タウンの手毬唄』『ブラック・エンジェル』『安楽椅子探偵アーチー』『雨恋』『ハートブレイク・レストラン』などがある。 |
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■ 『カオスコープ』山田正紀(2006年7月刊)
記憶障害に悩む作家・鳴瀬君雄は、ある朝自宅で他殺死体を発見する。ポケットには血の付いたナイフ。脳裡によぎる女性の悲鳴と、凄惨な殺人の光景……やはりぼくは、殺人者なのか?
「万華鏡連続殺人事件」を追う刑事、鈴木は奇妙な傷害事件に興味を抱く。被害者の名は鳴瀬君雄。重傷を負ったまま行方不明になった彼を捜しに鳴瀬宅へ向かうが……
壊れた記憶を抱えてさまよう男と、“そこにいない”相棒とともに事件を追う刑事。二人を待ち受ける驚愕の運命とは?
山田正紀(やまだ・まさき)
1950年愛知県生まれ。74年発表のデビュー中編「神狩り」で第6回星雲賞を受賞。82年『最後の敵』で第3回日本SF大賞、2002年『ミステリ・オペラ』で第2回本格ミステリ大賞および第55回日本推理作家協会賞を受賞。ミステリ、SF、冒険小説など、多岐にわたる分野で活動を展開。著作に『宝石泥棒』『エイダ』『僧正の積木唄』『天正マクベス 修道士シャグスペアの華麗なる冒険』『神狩り2 リッパー』『マヂック・オペラ』『翼とざして アリスの国の不思議』などがある。 |
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■ 『運命の鎖』北川歩実(2006年7月刊)
アキヤ・ヨーク病。中年期に発病して死に至るという遺伝病。
志方清吾は、自分の父を襲ったその病気を恐れ失踪した。精子バンクに預けていた精子を残したまま――。
志方の失踪から二十数年、志方の血をひく子供たちは、受験、結婚、出産など、それぞれの岐路に立っていた。
はたして遺伝病は受け継がれているのか、そして彼らの運命は。
サイエンスミステリの鬼才が贈る衝撃の連作集。
北川歩実(きたがわ・あゆみ)
性別、年齢不詳の覆面作家。1993年第6回日本推理サスペンス大賞に投じた『僕を殺した女』でデビュー。サイエンスミステリの担い手として、独特な作風で人気を博す。著作は他に『硝子のドレス』『模造人格』『猿の証言』『金のゆりかご』『透明な一日』『恋愛函数』など。 |
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■ 『福家警部補の挨拶』大倉崇裕(2006年6月刊)
現場を検分し鑑識の報告を受けて聞き込みを始める頃には、事件の真相が見えている?! おなじみ刑事コロンボ、古畑任三郎の手法で畳みかける、4編収録のシリーズ第1集。
刑事コロンボ、古畑任三郎の系譜
福家警部補は今日も徹夜で捜査する。
大倉崇裕(おおくら・たかひろ)
1968年京都府生まれ。学習院大学法学部卒業。97年「三人目の幽霊」が第4回創元推理短編賞佳作となる。98年「ツール&ストール」で第20回小説推理新人賞受賞。著書に『三人目の幽霊』『七度狐』『やさしい死神』『白戸修の事件簿』(『ツール&ストール』改題)『無法地帯』『丑三つ時から夜明けまで』、共著に『川に死体のある風景』がある。 |
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■ 『さくら草』永井するみ(2006年5月刊)
プリムローズ殺人事件――
殺害された少女たちが身にまとっていたのは、ローティーンに絶大な人気を誇るジュニアブランド・プリムローズだった。清純で高級感のあるデザインは、身につけた少女の写真を売買する男たちをも生み出す。
少女たちに果たして何が。
ブランドを守ろうとするゼネラルマネージャー、女性刑事、そして少女の母親、事件に揺り動かされる女たちを描く、著者待望の長編ミステリ。
永井するみ(ながい・するみ)
1961年東京生まれ。東京芸術大学中退、北海道大学卒。95年「瑠璃光寺」(創元推理文庫『推理短編六佳撰』所収)が第2回創元推理短編賞の最終候補となる。96年「マリーゴールド」が第3回九州さが大衆文学賞、「隣人」が第18回小説推理新人賞、『枯れ蔵』が第1回新潮ミステリー倶楽部賞と連続受賞しデビュー。主な著作は『樹縛』『ミレニアム』『大いなる聴衆』『俯いていたつもりはない』『ソナタの夜』『ビネツ』など。 |
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■ 『川に死体のある風景』歌野晶午、黒田研二、大倉崇裕、佳多山大地、綾辻行人、有栖川有栖(2006年5月刊)
e-NOVELSとミステリーズ!の連動企画によって生まれたアンソロジー。「川に流れる死体」をテーマに、六名の人気ミステリ作家が競い合う。玉川上水、長良川、一ノ戸沢、ウクカ川、深蔭川、桜川と、虚実入り乱れた、美しい川面で繰り広げられるトリッキーなミステリたち。
●収録作品
「玉川上死」歌野晶午
「水底の連鎖」黒田研二
「捜索者」大倉崇裕
「この世でいちばん珍しい水死人」佳多山大地
「悪霊憑き」綾辻行人
「桜川のオフィーリア」有栖川有栖
歌野晶午(うたの・しょうご)
1961年千葉県生まれ。著作に『葉桜の季節に君を想うということ』などがある。
黒田研二(くろだ・けんじ)
1969年三重県生まれ。著作に『カンニング少女』などがある。
大倉崇裕(おおくら・たかひろ)
1968年京都府生まれ。著作に『福家警部補の挨拶』などがある。
佳多山大地(かたやま・だいち)
1972年大阪府生まれ。今作が初のミステリ創作。
綾辻行人(あやつじ・ゆきと)
1960年京都府生まれ。著作に『時計館の殺人』などがある。
有栖川有栖(ありすがわ・ありす)
1959年大阪府生まれ。著作に『マレー鉄道の謎』などがある。 |
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■ 『少年は探偵を夢見る 森江春策クロニクル』芦辺拓(2006年3月刊)
少年の日、妖しいキネオラマで怪人と名探偵に出会った森江春策。中学生となった彼は、「存在しない13号室」のあるアパートで起きた殺人事件を解決し、大学時代には、二都で起きた怪死を繋ぐ意外な真相を看破する。その後新聞記者となり、廃墟ホテルで発見された生首にまつわる冒険を経て、弁護士に転身した森江春策が対決するのは、タイムマシンでアリバイを築いたと主張する殺人者! 名探偵・森江春策の軌跡を描く傑作ミステリ5編。事件年譜「森江春策事件簿」を特別収録。
芦辺拓(あしべ・たく)
1958年大阪府生まれ。同志社大学卒。86年「異類五種」で第2回幻想文学新人賞に佳作入選。90年『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。代表作は『時の誘拐』『時の密室』『怪人対名探偵』『紅楼夢の殺人』『三百年の謎匣』など。 |
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■ 『落下する緑』田中啓文(2005年11月刊)
『本格推理』入選時に故鮎川哲也氏より絶賛された、幻のデビュー作にはじまる本格ミステリ。大人の雰囲気に彩られた《日常の謎》的連作短編集ついに登場。
師から弟子へ連綿と受け継がれたクラリネットの秘密、消えた天才トランペット奏者の行方、国民的時代小説家の新作を巡る謎、3000万円もするウッドベースを壊した真犯人は何者か、など7編を収録。冴え渡る永見緋太郎の名推理。
著者おすすめジャズレコード、CD情報付。
田中啓文(たなか・ひろふみ)
1962年大阪生まれ。神戸大学卒。93年本書所収の「落下する緑」を鮎川哲也編の『本格推理』に投稿し入選。同時に長編『凶の剣士』(刊行時に『背徳のレクイエム』と改題)が第2回ファンタジーロマン大賞に佳作入選しデビュー。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」が第33回星雲賞日本短編部門を受賞。ミステリをはじめ、ファンタジー、SF、ゲーム原作など様々なジャンルにて活躍。代表作は『笑酔亭梅寿謎解噺』(集英社)、『天岩屋戸の研究』(講談社ノベルス)、『忘却の船に流れは光』(早川書房)など。 |
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■ 『イノチガケ 安吾探偵控』野崎六助(2005年11月刊)
突然倒れ、血を流して死んだ徴用工の事件をきっかけに、いつものように安吾のもとへ賢人同盟の仲間が集まる。教員、保険員、記者、戸籍係など様々な職業の彼らは、探偵小説という共通の趣味で結ばれている。
しかし焼夷弾の降る夜毎、その賢人同盟員が次々と殺される。一人は締め切られた防空壕の中で串刺しに。また一人は走る首なし死体として発見され……。数多の推理と打ち消しの末、安吾が目にした真実とは……。
戦時下の東京。空襲と連続殺人の二つの恐怖の中で繰り広げられる、瞠目の長編本格推理。
野崎六助(のざき・ろくすけ)
1947年東京生まれ。多岐に亘る評論活動を展開し、92年には『北米探偵小説論』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。また94年には『夕焼け探偵帖』で小説家としてもデビュー、『煉獄回廊』や『風船爆弾を飛ばしそこねた男』などのミステリを執筆している。 |
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■ 『グーテンベルクの黄昏』後藤均(2005年11月刊)
第二次世界大戦末期のヨーロッパ。ドイツ占領下のガーンジー島で、三つの他殺体が発見される。接点のみえない三者の間で一体何が起こったのか? 捜査に携わることになった青年画家・星野は、事件の関係者が密室で変死を遂げるに及んで、相次ぐ殺人の背後にヒトラーの切り札〈ロムルス〉の存在があることを知る。星野は〈ロムルス〉の行方を突き止めるため、崩壊寸前のベルリンに決死の潜入を試みるが。鮎川哲也賞受賞作『写本室の迷宮』に続く歴史ミステリの雄編、満を持して登場。
後藤均(ごとう・ひとし)
1958年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1986年シカゴ大学経営大学院を卒業。2002年、『写本室(スクリプトリウム)の迷宮』で第12回鮎川哲也賞受賞。多重構造の本格ミステリと歴史上の謎を絡めた、緻密な作風が高い評価を受ける。2005年、続編の『グーテンベルクの黄昏』を上梓。 |
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■ 『摩天楼の怪人』島田荘司(2005年10月刊)
マンハッタンの高層ビル34階、突き刺さったような形のガラスのテラスが、そこにはあった。その不思議な住居の一室で死の床にある往年の大女優が、半世紀近く前の殺人を告白し、この摩天楼の不可能犯罪の謎をコロンビア大学助教授・御手洗潔に解くよう促し、息をひきとった。女優たちの自殺、建築家の謎の爆死、時計塔の凄惨な殺人、半世紀にわたる数々の謎、そしてファントムとは誰か? 常にミステリ界のサミッターでありつづける島田荘司、更なる頂点!
島田荘司(しまだ・そうじ)
1948年広島県生まれ。武蔵野美術大学卒。81年のデビュー作『占星術殺人事件』と、続く『斜め屋敷の犯罪』で本格ミステリ史にその名を刻む。二作に代表される御手洗潔もの以外にも『寝台特急〈はやぶさ〉1/60秒の壁』など吉敷竹史が主人公のシリーズがあり、社会派、ユーモア・ミステリ等幅広い執筆活動をつづけている。また冤罪問題、死刑問題にも積極的に取り組んでいる。 |
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■ 『あなたが名探偵』泡坂妻夫、西澤保彦、小林泰三、麻耶雄嵩、法月綸太郎、芦辺拓、霞流一(2005年8月刊)
『ミステリーズ!』連載の人気企画「犯人当て小説」が1冊に。7人の作家がおくる問題編の記述から犯人を割り出すことができますか? 推理は名探偵のあなたにおまかせします。
●収録作品
「蚊取湖殺人事件」泡坂妻夫
「お弁当ぐるぐる」西澤保彦
「大きな森の小さな密室」小林泰三
「ヘリオスの神像」麻耶雄嵩
「ゼウスの息子たち」法月綸太郎
「読者よ欺かれておくれ」芦辺拓
「左手でバーベキュー」霞流一
泡坂妻夫(あわさか・つまお)
1933年東京都生まれ。著作に『蔭桔梗』などがある。
西澤保彦(にしざわ・やすひこ)
1960年高知県生まれ。著作に『キス』などがある。
小林泰三(こばやし・やすみ)
1962年京都府生まれ。著作に『玩具修理者』などがある。
麻耶雄嵩(まや・ゆたか)
1969年三重県生まれ。著作に『神様ゲーム』などがある。
法月綸太郎(のりづき・りんたろう)
1964年島根県生まれ。著作に『生首に聞いてみろ』などがある。
芦辺拓(あしべ・たく)
1958年大阪府生まれ。著作に『少年は探偵を夢見る』などがある。
霞流一(かすみ・りゅういち)
1959年岡山県生まれ。著作に『サル知恵の輪』などがある。
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■ 『切れない糸』坂木司(2005年5月刊)
俺、新井和也。家は商店街によくある町のクリーニング屋さ。新井と洗いをかけた「アライクリーニング店」が屋号。年じゅうアイロンの蒸気に包まれて育った俺は、超寒がりときている。
大学卒業をひかえたある日、親父が急死した。就職も決まっていない俺は、しかたなく家業を継ぐことに。おおざっぱな性格の母親、アイロン職人のシゲさん、そして長年パートとして店を盛り立ててくれている松竹梅トリオの松岡さん、竹田さん、梅本さんに助けられ、新たな生活がスタートしたんだ。
目下のところクリーニング品の集荷が、俺の主な仕事。毎日、お得意さんの家を訪ねては、洗濯物を預かってくるというわけ。ところが、あるお得意さんから預かった衣類は……。
『青空の卵』『仔羊の巣』『動物園の鳥』で絶賛をあびた坂木司待望の新シリーズ!
坂木司(さかき・つかさ)
1969年東京生まれ。2002年覆面作家として『青空の卵』を刊行し衝撃のデビューをかざる。以後『仔羊の巣』『動物園の鳥』を上梓し、鳥井と坂木が活躍する“ひきこもり探偵三部作”を完結させる。 |
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■ 『やさしい死神』大倉崇裕(2005年1月刊)
死神にやられたとのメッセージに首をひねる表題作を皮切りに、物足りない芸ゆえに先行きを危ぶまれていた噺家二人が急に上達する「無口な噺家」、元名物編集長の安楽椅子探偵譚「幻の婚礼」、携帯事件に始まり牧&緑コンビ定番の張り込みで決する「へそを曲げた噺家」、『幻の女』ばりに翻弄される緑の単独探偵行「紙切り騒動」、バラエティに富んだ5編を収める。デビュー作品集『三人目の幽霊』、初長編となった『七度狐』に続く、好評落語シリーズ第3弾!
大倉崇裕(おおくら・たかひろ)
1968年京都府生まれ。学習院大学法学部卒業。97年「三人目の幽霊」が第4回創元推理短編賞佳作となる。98年「ツール&ストール」で第20回小説推理新人賞受賞。著書に『三人目の幽霊』『七度狐』『やさしい死神』『白戸修の事件簿』(『ツール&ストール』改題)『無法地帯』『丑三つ時から夜明けまで』、共著に『川に死体のある風景』がある。 |