●最新刊『死者に祈りを』上下/高橋恭美子訳(2009年4月刊)
警部補になり、本来なら殺人課の現場からは一歩退いているはずのデッカーだったが、忙しさは相変わらずで、愛妻のリナとも子どもたちともすれ違いの毎日が続いていた。
そんなとき、心臓の専門医として名高い医師スパークスが無惨に殺害される事件が発生。家族にとっては良き夫、偉大な父であり、仕事仲間の医師たちにとっては、確かな腕と権威をもつ絶対的な存在、そして厳格なキリスト教原理主義者でもあった。
さらに、被害者と仲間の医師たちが免疫を抑える画期的な新薬の開発に関わっていたことも判明する。
被害者の息子のひとりブラムは、カトリックの神父で、しかもリナの亡き夫の親友だった。
かつての恩人と夫への忠誠心の板挟みに苦しむリナ。デッカーも、事件にリナが介入してくることへの苛立ち、ふたりの関係への嫉妬に苛まれる。
調べ進むうちに明らかになっていく、被害者の家庭の複雑な内情、部下の医師たちの屈折した思い。週末には荒くれた仲間とバイクに乗っていたという被害者の意外な顔。捜査が難航するなか、さらに第二の殺人が……。
高名な医師に恨みをもつ人物は誰か? リナとの関係に苦悩しつつデッカーは捜査を進める。
愛の本質、家族の絆を問う、リナ&デッカー・シリーズ第9弾。
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