巨匠マクベインが贈る未曾有の大アンソロジー
人気作家10人による書き下ろしの競演

十の罪業〈RED〉〈BLACK〉
エド・マクベイン編/木村二郎・田口俊樹他訳

 本書は、警察小説〈87分署〉シリーズ等で知られる作家エド・マクベインが編んだ、10人の作家による書き下ろしアンソロジーです。
 まずは、その10人の豪華な顔ぶれを確認していただきましょう。本書の収録作は、下記のとおりです。

『十の罪業〈RED〉』収録作
 「憎悪」エド・マクベイン〈87分署〉
 「金は金なり」ドナルド・E・ウェストレイク〈ドートマンダー〉
 「ランサムの女たち」ジョン・ファリス
 「復活」シャーリン・マクラム
 「ケラーの適応能力」ローレンス・ブロック〈殺し屋ケラー〉

『十の罪業〈BLACK〉』収録作
 「永遠」ジェフリー・ディーヴァー
 「彼らが残したもの」スティーヴン・キング
 「玉蜀黍の乙女(コーンメイデン)――ある愛の物語」ジョイス・キャロル・オーツ
 「アーチボルド――線上を歩く者」ウォルター・モズリイ
 「人質」アン・ペリー

 いかがですか? 翻訳ミステリ/エンタテインメント読者なら、見覚えのある名前がずらり勢ぞろいしています。
 これらの人気作家たちに依頼するにあたり、編者のマクベインが出した条件は、「広義のミステリ」である「中編小説」を書くこと、ただそれだけ。その結果、本書は驚くほどバラエティ豊かな作品が集まるアンソロジーとなりました。しかも、「中編」のアンソロジーですから読みごたえはたっぷり。どの作品でも、各作家の持ち味が存分に発揮されています。
 とても一冊では収まりきらない分量のため、〈RED〉〈BLACK〉の二分冊となりましたが、どちらの巻からでも、どの作品からでも読むことができます。編者マクベインによる紹介文などを参考にして、お好きな順番でお楽しみください。
 なお、作家の中には、おなじみのシリーズキャラクターを登場させた人もいます。編者兼寄稿者であるエド・マクベインもそのひとりですが、残念なことに原書の刊行直前に死去したため、本書に収録された作品「憎悪」が“87分署最後の事件”となってしまいました。その意味でも、本書は必読といえましょう。

 バラエティ豊かな空前絶後の大アンソロジー、エド・マクベイン編『十の罪業〈RED〉』『十の罪業〈BLACK〉』は1月28日刊行予定です。

【追記】2008年12月31日、本書の寄稿者であるドナルド・E・ウェストレイクが75歳で逝去しました。

(2009年1月6日)