オカルト探偵アーク登場
10の怪奇な事件に推理で挑む!

サイモン・アークの事件簿〈I〉
エドワード・D・ホック/木村二郎訳

 2008年1月、惜しくも世を去ったエドワード・D・ホック。その作家生活は実に50余年におよび、ミステリ作家として生涯現役を貫いた一生でした。
 そのホックが1955年に発表した、記念すべきデビュー作であり、オカルト探偵サイモン・アークのシリーズ第1作でもあるのが、本書『サイモン・アークの事件簿〈I〉』の巻頭に収録された短編「死者の村」です。サイモン・アークものは、50余年の作家活動のあいだに全61編が連綿と書きつがれた、著者を代表するシリーズなのです。

 一冊の作品集としてまとまるのは、今回が本邦初なので、シリーズの特徴と探偵役サイモン・アークについて簡単に紹介します。
 本シリーズ最大の特徴はなんといっても、起こる事件が、悪魔や超常現象の関与を疑わせるものばかりであることです。例えば、黒魔術の儀式がからんだ殺人、狼男を撃ってしまったと主張する男の謎、聖夜に目撃された伝説の妖精、といったように……。また、アメリカだけでなく、世界じゅうで事件が起こるのも大きな特徴です。本書収録作品で、サイモン・アークはイギリス、エジプト、インドネシア、トルコ等で起きた怪事件に挑むことになります。
 では、探偵役となるサイモン・アークとはいかなる人物か。いつも黒い服を着ている、学者風の外見をしたサイモンは、最低でも1500歳以上、おそらくは2000歳くらいと推定される年齢の人物です。その生涯のすべてを、悪魔や超常現象の研究と発見のためにささげており、膨大な知識と鮮やかな推理力を武器に、怪事件に立ち向かっていきます。

 今回収録した10編は、ホックが生前選んだお気に入りの中から、さらに精選したもの。十の怪奇に挑むアークの活躍をお楽しみください。
 エドワード・D・ホック『サイモン・アークの事件簿〈I〉』は12月20日刊行予定です。

(2008年12月5日)