よれよれのコートにえび茶のマフラー、いつも同じスーツという小汚い服装。仕事中毒といえば聞こえはいいが、その内実は決してほめられたものではなく、捜査方法は常に行き当たりばったりで、書類仕事は大の苦手。口をひらけば出てくるのは決まって下ネタジョーク、しかもそのお下劣さとバリエーションの豊富さは天下一品という始末の悪さ。
そんな、どこへ出しても恥ずかしい、くたびれきった中年男以外の何者でもない人物。それが本書『フロスト気質（かたぎ）』の主人公、ロンドン郊外の田舎町デントンの名物警部、ジャック・フロストその人です。
しかし、これまで邦訳された『クリスマスのフロスト』『フロスト日和（びより）』『夜のフロスト』の三作をお読みのかたなら、このしょうもない警部がなぜか憎めない、とびきり魅力的な人物であることもご存じでしょう。シリーズ第４弾の本書でも、そのパーソナリティは健在で、初登場の段から、唯一無二の“フロスト気質”を存分に発揮してくれます。
今回の物語は、ハロウィーンの夜に幕を開けます。７歳の少年が行方不明になったとの報を受けて巡回中の新米巡査が、ゴミの中から少年の死体を発見したのを手始めに、立て続けに事件が発生。幼児ばかりを傷つけてまわる連続幼児刺傷犯が新たな罪を重ねれば、誘拐された15歳の少女が全裸の状態で保護され、さらには身元不明の腐乱死体が出てくるなど、ほかにも大小さまざま取り混ぜて、事件がデントンの町をにぎわせます。
毎度毎回、人手不足に悩まされているデントン署は、今回もとある事情から捜査の指揮を執るべき幹部連が払底してしまい、休暇を満喫していたはずのフロスト警部の出馬をこいねがう羽目になってしまうのでした。はたしてフロスト警部は、これらてんこ盛りの事件を無事に解決まで導くことができるのでしょうか？
シリーズの特徴として、毎回フロスト警部の下につく、こちらもひと癖ある部下とのやり取りがありますが、過去最大のボリュームを誇る本書では、フロストはふたりの部下を持つことになります。ひとりは勝ち気な女性部長刑事で、“ワンダー・ウーマン”の異名を持つリズ・モード。そしてもうひとりは、過去にフロストと浅からぬ因縁がある、ジム・キャシディ警部代行です。このふたりとの関係の変化（あるいは悪化）も読みどころのひとつですので、どうぞお楽しみに。
もちろん、フロストの宿敵である嫌味な“眼鏡猿”マレット署長や、ぼやきの多いウェルズ巡査部長など、おなじみの面々もしっかり登場しますのでご安心を。
フロスト警部シリーズ第４弾、『フロスト気質（かたぎ）』は7月29日刊行予定です。
ドラマ版「フロスト警部」
日本語吹替版DVD発売決定！
1992年にイギリスで放映が開始されて以来大好評を博し、現在も年に数本ペースで制作・放映されているドラマ版「フロスト警部」。日本でもDVDやCSチャンネルでの放送で人気を得てきたシリーズが、このたび初の日本語吹替版DVDとなって発売されることが決定しました。
第１弾としてリリースされるのは、邦訳最新刊であるシリーズ第４弾『フロスト気質』が原作となった「孤独な復讐」「狙われた天使」の二本です。実力派の役者たちによって、新たな命を吹きこまれたフロスト警部の物語に、どうぞご期待ください。
「フロスト警部」A Touch of Frost 日本語吹替版DVD
「孤独な復讐」Penny for the Guy
「狙われた天使」House Calls
(c) Yorkshire Television 1997／(c)Granada International
発売元：イーエス・エンターテインメント
【声の出演】
大塚明夫（ジャック・フロスト役）
■過去出演作品■
アニメ 「ブラックジャック（主役：ブラックジャック役）」
外 画 アントニオ・バンデラス出演作品「マスクオブゾロ」「暗殺者」etc…
スティーブン・セガール出演作品「沈黙の戦艦」「沈黙の要塞」etc…
「ER 緊急救命室（ピーター・ベントン役）」
「TAXi（主役：ダニエル役）」
納谷六朗（マレット役）
■過去出演作品■
アニメ 「スポンジ・ボブ（イカルド・テンタクルス役）」
「クレヨンしんちゃん（園長先生役）」
外 画 「ロード・オブ・ザ・リング3（死者の王役）」
「アメリカン・プレジデント（マーチン・シーン役）」
田中敦子（リズ・モード役）
■過去出演作品■
アニメ 「攻殻機動隊（草薙素子役）」
外 画 ジェニファー・ロペス出演作品「Shall We Dance？」「ジーリ」etc…
ニコール・キッドマン出演作品「バットマンフォーエヴァー」「白いカラス」
ジュリア・ロバーツ出演作品「ペリカン文書」「陰謀のセオリー」etc…
発売時期や仕様などの詳細は、追って小社サイトでも告知いたします。
（2008年7月7日）
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