東西二大名探偵が現代英国で推理を競う!

『御手洗潔対シャーロック・ホームズ』
柄刀一

 御手洗潔が英国の巨石遺跡で逆さ死体の謎を解き、ホームズは現代日本の人体工学研究所の密室殺人に挑む!
『御手洗潔対シャーロック・ホームズ』には各々の探偵の活躍のほか、直接推理をたたかわせる「対決編」をふくめ全5編が収録されます。

 ノーベル賞授賞式典に招かれた御手洗潔と石岡和己。御手洗は何故か飛行機の中で脳科学について説明を始める。いぶかしむ石岡と落ち着かない様子を見せる隣席の男。彼は御手洗の友人の父だというが……。御手洗の不可解な行動の理由とは?(「青の広間の御手洗」)

 天地が逆転した逆さ階段を両翼にそなえた英国の巨石遺跡。彼の地を訪れた石岡は、真夜中、逆さ階段を上る謎の足音を聞く。そして翌朝、意識を失った石岡と共に遺跡の前に放置された死体――上下逆さまに置かれた遺骸が発見された。(「シリウスの雫」)

 現代の二子玉川に事務所を構えるシャーロック・ホームズのもとを訪れたのは高名な学者の娘。人体工学研究所内で、父が不審死を遂げたのだという。ワトスンと共に、さっそく馬車で駆けつけたホームズを待ち受けていたのは、電子ロックで閉じられた強固な密室だった。(「緋色の紛糾」)

 シャーロック・ホームズにとっては、彼女はいつも「あのひと」だった――さる高貴な人物から、“謎の女”愛鈴・アドラーが隠し持つ写真と手紙の奪還を依頼されたホームズ。さっそく彼女の屋敷に赴いたホームズとワトスンは、見事隠し場所を突き止めるが。(「ボヘミアンの秋分」)

 ジョン・H・ワトスンの未発表原稿を求めて、霧深きウェールズを訪れた御手洗と石岡。二人は逗留先で、霧の中を彷徨う「巨大な歩行者」の足音を聞き、通り過ぎた痕跡と思しき破壊の跡を発見する。「伝説」の巨人は実在したのか? そして時を同じく、ホームズとワトスンが同地で少年誘拐事件の捜査に乗り出していた。立て続く不可能現象を巡り、現代英国で相見えた東西二大名探偵が推理を競う!(「巨人幻想」)

そして作者・柄刀一宛に届けられた手紙(差出人は、石岡和己とジョン・H・ワトスン!)も収録。(特別寄稿=島田荘司「石岡和己対ジョン・H・ワトスン」)。磨き抜かれた全五編の奇想、知られざる御手洗潔とシャーロック・ホームズの活躍をご堪能下さい。

(2008年7月7日)