カリスマ占い師・摩耶優麗登場!
柴田よしき『謎の転倒犬 石狩くんと(株)魔泉洞』

 古代よりいつの時代も、様々なシーンで占い師は重要な役割を担ってきました。現在でも人気占い師に占ってもらうために、お店の前に行列ができることも少なくありません。
 本書に登場する、摩耶優麗もそんなカリスマ占い師の一人。水晶玉を扱い、見事にお客の悩みを解決。彼女の占いの館・魔泉洞は、整理券を求めるお客で日々賑わっている。さらに占いの部屋は一面ローズピンクで、優麗本人も厚化粧で年齢不詳。

 そんな彼女と、偶然出会ってしまったのが、主人公の石狩くん。大学四年生なのに就職が決まらず、就職活動で何故か借金をこしらえた彼が、アルバイトの帰りに優麗と運命的な出会いをします。「ちょっと、過去に遡って見てきた」と優麗にその過去を見事に言い当てられます。当初は彼女を不気味に思いますが、その見事な占いの力(?)に屈して、なし崩し的に魔泉洞に就職することに。
 そんな石狩くんが遭遇した五つの謎と、優麗に振り回される受難を、ユーモラスなタッチで描いた本書を、どうぞお楽しみください。

●収録作品
「時をかける熟女」
「まぼろしのパンフレンド」
「謎の転倒犬」
「狙われた学割」
「七セットふたたび」

(2008年5月7日)