豊富な資料と取材経験を駆使して
ナチス第三帝国の全貌を描く、
第一級の歴史ノンフィクション
ウィリアム・L・シャイラー『第三帝国の興亡』(全五巻)

 ナチス第三帝国の誕生から滅亡までを描く歴史ノンフィクション『第三帝国の興亡』(全五巻)をお届けします。

 第三帝国とは、ヒトラーやナチ党員がナチ国家を称揚するために使った言葉。自分たちが支配している国家は、栄光に包まれた神聖ローマ帝国とプロセインを中心として諸邦が統一されたドイツ帝国に次ぐものであるという意味が込められています。第三帝国は千年続くとヒトラーはうそぶき、ナチ内部では「千年帝国」という言葉がしばしば使われましたが、実際には12年と数ヶ月しか続かなかったのは周知の通りです。

 本書が描くのは、その第三帝国に独裁者として君臨したアドルフ・ヒトラーの誕生から、彼が自殺しドイツが連合国に降伏するまで。著者のウィリアム・L・シャイラーは、ラジオジャーナリズムの先駆者として有名なアメリカ人ジャーナリストで、ヒトラーが首相に就任する前から、ベルリンやヨーロッパ各地で取材し、数々の歴史的事件を報道しました。戦況が極端に悪化した1940年にアメリカへ帰国し、ベルリン滞在経験をもとにした『ベルリン日記』を発表。ヒトラーとナチスの言動を活写した同書はベストセラーになりました。本書にもその取材経験はいかんなく盛り込まれており、その場にいた著者にしか書きえないであろうシーンが数多くあります。

 ウィーンで悲惨な青春時代を過ごし、第一次世界大戦では一介の伍長。ビアホール・プッチで惨めな失敗を喫した男は、いかにして国家に君臨し、未曾有の災禍をもたらしながらかつてない高みへとドイツを導き、そして壮絶な最期に至ったのか。本書『第三帝国の興亡』はそのすべてを描きます。どうぞご期待ください。


■各巻の副題と主な内容
1 アドルフ・ヒトラーの台頭
 ヒトラーの出自と思想 政権掌握への過程 国家のナチ化 レームと突撃隊の血の粛清
2 戦争への道
 ヴェルサイユ条約破棄 オーストリアの併合 ミュンヘン会談 チェコスロヴァキアの消滅
3 第二次世界大戦
 独ソ不可侵条約締結 ポーランド侵攻 第二次世界大戦勃発 デンマーク・ノルウェー征服
4 ヨーロッパ征服
 フランス降伏 イギリス侵攻作戦失敗 独ソ開戦 スターリングラード攻防戦 独軍の敗走
5 ナチス・ドイツの滅亡
 ホロコースト ムッソリーニの失墜 ヒトラー暗殺未遂事件 ベルリン陥落 ヒトラーの最期
は既刊。第五巻は2009年2月刊行予定

(2008年5月7日/2008年10月6日)