津原泰水だからこそ書き得た、
少女たちの「探偵」物語
『ルピナス探偵団の憂愁』

 私立ルピナス学園高等部に籍を置く三人の少女――彩子、キリエ、摩耶と、飄々とした博学の少年・祀島たちが遭遇する三つの事件を描いた『ルピナス探偵団の当惑』。殺人現場で冷えたピザを食べる犯人、青薔薇の館で起きた密室殺人、大女優の死体から奪われた右手の謎などを、鮮やかな論理で解決するミステリ連作の姉妹編が、創元クライム・クラブより登場です。

 高校卒業から数年を経て再会したルピナス探偵団の“最後の事件”である「百合の木陰」から時を遡り、彩子と祀島が通う大学の名物教授宅で起きた、多様なペダントリーが紡ぎ上げる奇妙な事件「犬には歓迎されざる」、解決したはずの二重密室殺人に関わった人々の“その後”を描いた「初めての密室」、高校卒業を目前にしたルピナス学園で起きた殺人事件と、学園が四人に贈る祝福の物語「慈悲の花園」まで、ルピナス探偵団の面々の歩みをさかしまに辿ります。

 そして四つの物語は、かつてなく美しい場面で幕が引かれます。ぜひお手にとって、ご覧下さい。

(2008年1月7日)