幻想の紡ぎ手による珠玉のファンタジー

オドの魔法学校
パトリシア・A・マキリップ/原島文世訳

 両親をはやり病で亡くし、弟にも恋人にも去られ、ひとりぼっちで暮らすブレンダンのもとに、ある日、オドと名のる女巨人が訪れた。まわりじゅうに動物たちをまとわりつかせた不思議な女巨人は、植物の扱いに長けた彼に、都にある魔法学校の庭師になって欲しいと申し出た。
 悩んだ末にオドの求めに応じて魔法学校に行ったブレンダンだったが、故郷とあまりに勝手がちがう都の様に戸惑うばかりだった。一方、自らの魔法の力にまったく無頓着な彼に、魔法学校の教師たちは困惑を隠せない。
 都では、歓楽街“黄昏区”で興行する魔術師ティラミンの噂に、支配者たちが神経をとがらせていた。魔法は国王の名のもとに魔法学校で厳格に管理されているはず。果たして件の魔術師はただの興行師か、それとも本物の魔法使いなのか……。

 魔法の才をもつ青年ブレンダン、魔法学校の教師ヤール、王女スーリズ、魔術師ティラミンの娘ミストラル、黄昏区の警吏監アーネスト……ヌミスの都ケリオールの人々がおりなす魔法のタペストリー。
 幻想の紡ぎ手マキリップの、謎と魔法に満ちた珠玉のファンタジー。
(2008年1月7日/2008年2月5日)