世界中の昔話を集めた古典童話集を新訳、新編集で
〈アンドルー・ラング世界童話集〉全12巻
『あおいろの童話集』
『あかいろの童話集』
アンドルー・ラング編/西村醇子監修
2008年1月2冊同時刊行

すべてのファンタジーのみなもとがここにある! 

児童文学の黄金時代、ヴィクトリア朝の英国で編纂された古典童話集を、完全新訳、新編集で刊行。 


第1巻 あおいろの童話集

*収録作品
「ヒヤシンス王子とうるわしの姫」
「アラディンと魔法のランプ」
「マスターメイド」
「海の水がからいわけ」
「フェリシアとナデシコの鉢」
「白い猫」
「スイレンと、金の糸をつむぐむすめたち」
「うるわしき金髪姫」
「ウィッティントンのお話」
「ふしぎな羊」
「四十人の盗賊」
「ヒキガエルとダイヤモンド」
「いとしの王子」
「ガラス山の姫ぎみ」
「アフメド王子と妖精ペリバヌー」
「巨人退治のジャック」
「ノロウェイの黒牛」
「赤鬼エティン」
 あとがき 西村醇子


第2巻 あかいろの童話集

*収録作品
「サンザシ姫」
「ソリア・モリア城」
「不死身のコシチェイの死」
「黒い盗っ人と谷間の騎士」
「泥棒の親方」
「ロゼット姫」
「ブタと結婚した王女」
「ノルカ」
「小さなやさしいネズミ」
「六人のばか」
「木の衣のカーリ」
「アヒルのドレイクステイル」
「ハーメルンのふえふき男」
「金ずきんちゃんのほんとうの話」
「金の枝」
「マダラオウ」
「イラクサをつむぐむすめ」
「ファーマー・ウェザービアード」
「木のはえた花嫁」
「七頭の子馬」

※各巻巻末に、原書全収録作品一覧付き


 1889年に出た『あおいろの童話集』は、アンドルー・ラングがヴィクトリア時代の英国で、世界各地の伝承文学から、よりすぐりの作品を子どもたちに提供しようとした本でした。なかにおさめられた三十七編には、昔話だけでなく、神話、『ガリヴァー旅行記』の一部、作者が特定できる文芸的昔話(アンデルセンなど)が混在していました。『あおいろ』の好評をうけて、1910年までに12冊の童話集が出たほか、編集を変えたものも数種類出て、今日までも絶えることなく読みつがれています。
 日本では1958〜59年にかけて東京創元社から川端康成校閲、野上彰訳で『ラング世界童話全集』全12巻として出版されましたが、後に同じ川端康成校閲、野上彰訳のものに28話追加した全15巻で1963年にポプラ社から、またさらに同じものをもとにさらに再編集されたものが1977〜78年にかけて偕成社文庫から出版されました。このいずれもが、原書に収録された作品の全訳ではなく、各巻の収録作品も原書とはかなり違っていました。

 このたび東京創元社では、日本で最初に〈ラング世界童話全集〉を刊行した出版社として、今回まったく新しい編集、新しい訳で、この〈アンドルー・ラング世界童話集〉を刊行することになりました。すべて、原書の各巻より収録作品を選び直し、昔話としての持ち味や雰囲気を壊さないように、と同時に現代の子どもたち(もちろん大人も)も面白く読めるように工夫して翻訳しました。
 原書の作品全てを収録することはできませんでしたので、今回の編集ではあまりに残虐・暴力的なものや、根底に差別的な態度があると思われるもの、また、アンデルセンやペローのように、日本でも入手しやすいものは除外するようにしています。また日本の昔話ものぞきました。

 挿絵は英国での最初の刊行時のものを収録。ヘンリー・J・フォードを初めとした黄金期の挿絵画家たちの手になる美しいイラストが物語世界に奥行きを与えています。

(2007年12月5日)