疫病が国土を蔓延するなか、王の後継者である兄に呼ばれ故郷の城に戻ったフィデルマは、驚くべき事件を耳にする。モアン王国内の修道院で、隣国の尊者ダカーンが殺されたというのだ。このままでは隣国が責任を追及してくることは必定。二国間の戦争にも発展しかねない。さっそくフィデルマは、兄の要請で現地の調査に向かう。
途中、村が襲撃される現場に行き会い、助かった修道女と、数人の孤児を連れ修道院に向かうのだが……。
従兄が院長を務める殺人現場の修道院で、早速調査を始めるフィデルマ。
尊者ダカーンは、そこで何を調べていたのか? 人々の証言で次第に浮かびあがる、人格者といわれるダカーンの真の姿。そして、調べ進むうちに、どういうわけか絡まり合った幾本もの糸が、モアンと隣国の間に位置する小王国につながっていく。
裁判が開催される、大王の〈大集会〉の開催が刻々と迫るなか、必死の捜査が続く。
フィデルマは、モアン王国の危機を救うことができるのか?
裁判官、弁護士でもある美貌の修道女フィデルマが、もつれた事件の謎を解き明かす! 『蜘蛛の巣』に続く七世紀のアイルランドを舞台にしたケルト・ミステリ第二弾。