好評 戸板康二《中村雅楽探偵全集》
第二巻『グリーン車の子供』

 中村雅楽翁の活躍する名推理譚、第二巻。
第29回日本推理作家協会賞短編部門を受賞した「グリーン車の子供」を含む18編を収録しています。この「グリーン車の子供」は、当時はじめて「短編部門」を設けた際の第一回受賞作。日常の謎ミステリの代表作として、現在でも良く知られた作品とも言えます。この「グリーン車の子供」をはじめ、雅楽最初の事件「密室の鎧」、初出時は犯人当ての体裁だった「句会の短冊」「虎の巻紛失」など、バラエティー豊かな作品群です。

 第一巻『團十郎切腹事件』では「車引殺人事件」「團十郎切腹事件」「松王丸変死事件」など、主に殺人事件にまつわる謎を雅楽が解いていく作品が揃っていますが、今巻では、いわば歌舞伎・芸能界の日常に起こる謎をメインに扱っております。日常という世界を描きつつも、鋭利で鮮やかな雅楽の推理をご堪能ください。

今後発売の《中村雅楽探偵全集》収録作品
◆第三巻 目黒の狂女 23篇
かんざしの紋、淀君の謎、目黒の狂女、女友達、女形の災難、先代の鏡台、楽屋の蟹、お初さんの逮夜、むかしの写真、砂浜と少年、玄関の菊、大使夫人の指輪、俳優祭、梅の小枝、女形と香水、子役の病気、二枚目の虫歯、コロンボという犬、神かくし、芸養子、四番目の箱、窓際の支配人、木戸御免

◆第四巻 劇場の迷子 26篇
灰、日曜日のアリバイ、なつかしい旧悪、祖母の秘密、弁当の照焼、銀ブラ、不正行為、写真の若武者、機嫌の悪い役、いつものボックス、劇場の迷子、必死の声、芸談の実験、 かなしい御曹司、家元の女弟子、京美人の顔、女形の愛人、一日がわり、荒療治、市松の絆纏、二つの縁談、おとむじり、油絵の美少年、赤いネクタイ、留め男、演劇史異聞

◆第五巻 松風の記憶 長編2本
松風の記憶、第三の演出者

※総頁の都合により、作品の順序や収録巻数に変更が出る場合がございます。ご了承ください。

(2007年4月5日)

本の話題のトップへトップページへもどる