ぼくはトム、7番目の息子である父さんの7番目の息子だ。
父さんは農場をやっているけど、農場を継ぐのは一番上の兄さんだけ。それ以外はみんな手に職をつけて、ひとりだちしなくてはならない。でも7番目ともなると、いいかげん弟子入り先も底をついてしまう。そこでぼくが弟子入りすることになったのは魔使い。おそろしいボガートや魔女、ゴーストから人々を守る危険で孤独な仕事だ。母さんは、ぼくには特別な能力があるのだから、立派な魔使いになれるって言うけど、本当だろうか……
確かにぼくには、他の人には見えない、色々な気味の悪いものが見える。ろうそくの明かりがないと寝られないくらいだ。だから兄のジャックは、こんなに怖がりのぼくが、魔使いになんてなれるはずがないと言うんだ。
とにかく、ぼくは魔使いに弟子入りできるかどうか、試してみることになった。
魔使いとぼくが最初に着いたのは、うらさびれた炭坑町ホーショー。なんだか暗くて陰気なところだ。ぼくの最初の試験は、通りのはずれにある幽霊屋敷で、ひとりぼっちでひと晩過ごすこと。そして魔使いがぼくに告げたのは「誰がきても玄関をあけないこと」「夜中の12時ぴったりに地下室におりていくこと」「ろうそくの火だけは消さないこと」の3つだった。
ひとりになって、寒いし、変に目がさえて眠れずにいると、地下室で物音がした。だれもいないはずの地下室でだれかが地面を掘っている……
怖がりの少年トムは、無事に魔使いになることができるのか?
どきどき恐くて、わくわく面白い。〈魔使いシリーズ〉第1弾。
(2007年2月5日)
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