名探偵フェル博士、安楽椅子探偵として活躍!
ディクスン・カー『盲目の理髪師』

 2006年はジョン・ディクスン・カーの生誕百周年。
それを記念して、小社刊の『密室と奇蹟』をはじめとする数々の刊行物が、ミステリ界をにぎわせました。
  2007年も、東京創元社ではディクスン・カー作品の刊行を続けます。まず先陣を切るのは、『盲目の理髪師』。1934年の作品で、カーの全作品中、もっともファルス(笑劇)の味わいが濃い、とされてきた一冊です。大西洋を行く客船の上でくり広げられるどたばた騒ぎと、快刀乱麻を断つようなフェル博士の安楽椅子探偵ぶりとが、鮮やかに対照をなす快作といえるでしょう。

 さて、この『盲目の理髪師』ですが、新版での刊行に当たり、大幅な見直しをおこないました。版を改めたことで、格段に読みやすくなっております。それだけでなく、巻頭にはコリア・ブックス版(1962)に付された、名評論家アントニイ・バウチャーによる序文を収録、巻末には戸川安宣による解説「好事家のためのノート」を追加しました。資料価値がぐんと上昇しております。そして表紙も一新、カーの表紙といえばこのかた、山田維史先生に新たな装画を描きおろしていただきました。
 一新された『盲目の理髪師』新版、旧版をお持ちのかたも、あらためて手にとってみてはいかがでしょうか。

 ジョン・ディクスン・カー『盲目の理髪師』は、2月21日刊行予定です。

(2007年2月5日)

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