ガーディアン賞・ウィットブレッド賞受賞
『時間のない国で』〈上下〉
ケイト・トンプソン/渡辺庸子訳

 どういうわけか、いつも時間が足りなかった。一時間が、一日が、一週間が飛ぶようにすぎてしまうのだ。アイルランドの田舎町キンバラに住む、音楽一家リディ家の長男JJも、家族も、まわりじゅうみんながそう感じていた。
 そんななかJJは、母ヘレンの誕生日プレゼントに、なんとかして時間を買おうと決心していた。
 時間が買える場所を知っているらしい、地元の出版業者、アン・コーフの案内で遺跡の地下にある不思議な膜をくぐったJJがたどりついたのは、“永遠なる若さの国”。そこではなんと、時間を売ってくれるというのだ。実は、ほんとうならこの国にあるはずのなかった「時間」が存在するようになり、逆にみな困っているのだという。

 ぼくたちの世界からこっちの世界に時間が漏れている? JJは“永遠なる若さの国”のフィドル奏者アンガス・オーグといっしょに時間漏れの原因を捜し始める。
 そこで彼らがたどりついた意外な真相は?

 アイルランドの伝承と伝統音楽が、現代にいきいきとよみがえる!

 ガーディアン賞・ウィットブレッド賞児童書部門・ビスト最優秀児童図書賞受賞。2005年度英国児童文学最高の収穫!

(2006年10月5日/2006年11月6日)