地球の静止する日
SF映画原作傑作選
SF作家たちが築き上げた映像世界
幻の本邦初訳作5編を収録!

「たとえば、ロバート・ワイズ監督の映画「地球の静止する日」に原作があったことをご存じだろうか? あるいは、ウォード・ムーアの名作「ロト」が、かなり出来のいい映画になっていることを。あるいは、レイ・ブラッドベリに未発表の短編があり、それが映画「イット・ケイム・フロム・アウタースペース」の下敷きになったことを。



 ご存じであれば、本書は、あなたにとっていっそう興味深いものとなるだろう。ご存じでなければ、本書が、あなたの前に新しい世界を開いてくれるはずである。」

――編者・中村融(「はじめに」より) 


 ジョルジュ・メリエスの昔から、SFは映画とともに歩んできました。

 本書『地球の静止する日』は、そうした綺羅星のごとき名作SF映画の中から、知られざる原作短編を精選して贈る、日本独自編集のアンソロジーです。本邦初訳作を含む中短編6編+エッセイ1編を収録しています。

 表題作「地球の静止する日」は、今も古典として愛されている傑作映画。その原作である、ハリイ・ベイツの「主人への告別」を新訳で収録。

 ウォード・ムーアの「ロト」は、核戦争の危機を扱いながら今もまったく色あせない終末SFの傑作。またドナルド・A・ウォルハイムの初訳作「擬態」は、本書中で最も短い作品ながら、幻想的あじわいが濃厚な、忘れがたい逸品です。

 さらに本書には、日本でも有名な3巨匠作家の4作品を、本邦初訳作として取り揃えました。

 レイ・ブラッドベリが近年初めて公開した、幻の原作短編「趣味の問題」。そして、シオドア・スタージョンの手になる原作として、日本のファンに伝説的に語られてきた中編「殺人ブルドーザー」。巻末のロバート・A・ハインラインの中編「月世界征服」(厳密には、自著『宇宙船ガリレオ号』の映画化作品を自らの手で中編にノヴェライズしたもの)には、ハインライン自身が立ち会った撮影の舞台裏を明かしたエッセイ「「月世界征服」撮影始末記」を添えました。

 解説には〈SFマガジン〉で長年、映画・ビデオ評を担当している映画評論家・添野知生氏をお願いし、カバーは河出書房新社《奇想コレクション》でもお馴染みの、松尾たいこさんに飾っていただきました。

 SF作家たちが築き上げた映像世界をご堪能ください。

(2006年3月20日)

●収録作品

レイ・ブラッドベリ「趣味の問題」(初訳)
 ※映画「イット・ケイム・フロム・アウタースペース」原作
ウォード・ムーア「ロト」
 ※映画「性本能と原爆戦」原作
シオドア・スタージョン「殺人ブルドーザー」(初訳)
 ※映画「殺人ブルドーザー」原作
ドナルド・A・ウォルハイム「擬態」(初訳)
 ※映画「ミミック」原作
ハリイ・ベイツ「主人への告別」(新訳)(旧訳時の邦題「来訪者」)
 ※映画「地球の静止する日」原作
ロバート・A・ハインライン「月世界征服」(初訳)
 ※映画「月世界征服」原作
ロバート・A・ハインライン「「月世界征服」撮影始末記」 (初訳)
 ※エッセイ



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