江戸川乱歩の作品は、これまで様々な形で映像化され、2005年11月まででも、映画だけで実に40以上もの作品が存在します。テレビドラマ化された作品数はその比ではなく、「乱歩」「ドラマ」といえば天知茂の明智小五郎を思い浮かべる、という方も多いことでしょう。昨2004年には、藤井隆を主役に「乱歩R」という現代版・明智小五郎ものもドラマ化されました。
今回ご紹介する「乱歩地獄」は、数々のクリップやCMを手がける竹内スグル、過去に何度も乱歩作品や『姑獲鳥の夏』を映画化している実相寺昭雄、ピンク映画四天王に挙げられるような佐藤寿保、そして映画監督を初めて務める漫画家カネコアツシの4人による、「火星の運河」「鏡地獄」「芋虫」「蟲」の4作品のオムニバス映画となっています。いずれも映像化は初めてとなる作品ばかりで、期待は高まるばかり。
「火星の運河」「蟲」では浅野忠信、「鏡地獄」では成宮寛貴、そして「芋虫」では松田龍平が主演を務めるという、なんとも豪華なつくり。日本映画界になくてはならない役者が豪華にそろい踏みしたこの作品、なんと浅野忠信は主演作品以外の2作にも登場。脇役も、デイヴィッド・アーモンド『肩胛骨は翼のなごり』の舞台で主演をつとめる森山開次をはじめ、市川実日子、緒川たまき、岡本夕紀子、田口浩正、寺田農など注目の役者ばかりが並びます。
「乱歩地獄」各作品内容紹介
● 火星の運河
景色の全く変わらない荒野を、朦朧とした意識の中、男は歩き続けている。ふと気付くと目の前にはぽっかりと沼が口を開けていた。吸い込まれるようにその淵に立ち水面を覗き込むと、男の体が恋人のそれになっている。そして彼の意識はかつて恋人と過ごした時間へと遡っていき……。
● 鏡地獄
明智小五郎は療養中の妻のいる鎌倉で起こった一つの怪事件に興味を持つ。茶道の師範である一人の女性が変死をし、続いてその茶会に出席していた女も変死を遂げた。二つの死体のそばには同じものの手による和鏡があった。ぞっとするほど美しい容姿を持つその製作者のもとを明智は訪ねるが、今度は製作者の義姉が変死し……。
● 芋 虫
とある廃墟のような屋敷の部屋で、戦争によって両手両足を失った中尉とその妻がひっそりと暮らしていた。“芋虫”になってしまった夫を献身的に世話する妻だが、一方で彼への残虐な欲望を抑えられずにもいた。その様子を屋根裏から覗いている者がいたが、妻は彼の監視下で欲望を抑えきれずに夫の片目を潰してしまい……。
● 蟲
女優の運転手を務めるアレルギー性の湿疹に悩まされる男は、密かにその女優に想いを寄せていた。ある日彼は彼女に想いを伝えようと決心するが、その想いは彼女に届かず散ってしまう。思い余った男は彼女を襲って殺害するが、所有の喜びとは裏腹に恐ろしい速度で屍は蟲に犯されていく。なんとか男は防腐処置をしようとするがとても素人には行えず、次第に常軌を逸した彼は屍に絵の具で化粧を施していき……。
「乱歩地獄」
主演:浅野忠信、成宮寛貴、松田龍平
原作:江戸川乱歩
監督:竹内スグル、実相寺昭雄、佐藤寿保、カネコアツシ
(c)2005「乱歩地獄」製作委員会
配給:アルバトロス・フィルム
http://www.rampojigoku.com
2005年11月5日(土)より、シネセゾン渋谷、テアトル新宿にてロードショー公開
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