後藤均『グーテンベルクの黄昏』
第12回鮎川哲也賞受賞作『写本室の迷宮』につづく
歴史ミステリの雄編登場!

グーテンベルクの黄昏

 第二次世界大戦下のパリに住む青年画家・星野は、ドイツ軍占領下のイギリス領、ガーンジー島で起きた三重死の調査に携わることになる。発見された死体は日本陸軍少佐、イギリス人のメイド、そしてゲシュタポと思しきドイツ人。まったく接点のない三者が、なぜ? その場にいるはずのない退役軍人の影も加わり、事態は混迷を深める。

 さらに、ベルリン郊外で催された祝事の最中、完璧に密閉された防空壕で、ガーンジー島在住のドイツ外務省高官夫妻が死体で発見される。あまりにも不自然な状況に、他殺を疑う星野。しかし頑強な密室を破る手がかりはどこにもないものと思われた。

 二つの殺人を結ぶ接点とは? ヒトラーの切り札〈ロムルス〉とは、なにを指し示すのか? いくつもの謎が絡みあい、導き出された解答は、世界の現在を揺るがすのだった。

写本室の迷宮

 『グーテンベルクの黄昏』は、第12回鮎川哲也賞受賞作『写本室(スクリプトリウム)の迷宮』で、三重構造の緻密な小説構造と本格ミステリへの熱意あふれる姿勢を称賛された後藤均氏が、満を持して贈る受賞第1作です。

(2005年9月12日)
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