アーサー・モートン・マッカンドルー博士。太陽系最高の知性を集めたペンローズ研究所でもひときわぬきんでた天才物理学者。ただし折り紙付きの変人。ブラックホールをこよなく愛し、自らが開発した画期的な航行システムの宇宙船に乗り、自然界の新たな法則を求めて宇宙狭しと飛びまわります。
そんな天才マッカンドルー博士の相棒は、宇宙船の女船長ジーニー・ペラム・ローカー。マッカンドルーとは長年の付き合いで、彼とは娘までもうけた仲。いつもいつも浮世離れしたマッカンドルーの突飛な言動にふりまわされ、なんだかんだと言いながらも後始末にまわるしっかりもの。
そんなふたりが大宇宙で繰り広げる冒険の数々。著者シェフィールド得意の科学の知識を存分に詰め込んだ驚異のストーリーをお楽しみください。
巻末には訳者が作成した、詳細なシェフィールドの作品リストもついています。
各話のタイトルは次のとおり。
・第1話「影のダークマター」
・第2話「新たなる保存則」
・第3話「太陽レンズの彼方へ」
・第4話「母来たる」
ちなみに第4話には、タイトルどおりマッカンドルーの母親が登場。ジーニーはいきがかりじょうマッカンドルーの故郷、地球はシェトランド諸島にある小さな島を訪ねるはめに……。そこで明かされるマッカンドルーの父親の正体! ところが、これが家族の問題で終わらないのがマッカンドルーのマッカンドルーたる所以。またも彼は厄介事に手を突っ込み、ジーニーに引っぱりだしてもらい、そのあげくに新たな法則を発見してのけるのです。
本書に先立つ『マッカンドルー航宙記』は、創元SF文庫好評既刊。星雲賞を受賞した名作です。こちらには、
・第1話「キリング・ベクトル」
・第2話「慣性モーメント」
・第3話「真空の色彩」
・第4話「〈マナ〉をもとめて」
・第5話「放浪惑星」
が収録されています。こちらも是非よろしく。
(2005年9月10日)
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