【 エラリー・クイーン生誕100年記念出版 】
創元推理文庫『エラリー・クイーンの国際事件簿』
名探偵エラリー、世界の犯罪を旅する

エラリー・クイーンの国際事件簿

 2005年は、本格ミステリの巨匠エラリー・クイーン生誕100年。6月刊行の北村薫『ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件』は、この記念すべき年に完成を見た、渾身のパスティーシュです。

 そして、本家本元の『エラリー・クイーンの国際事件簿』が、2005年7月に刊行されます。1968年の作品『真鍮の家』で「地球上をまたにかけて豪遊旅行をやっていた。諸国の警察署長に会っては、犯罪の美食をご馳走になって歩き、いろいろと珍奇な犯罪学の料理を味わった」と描かれている作家兼名探偵のエラリーが、日本では、かの帝銀事件に挑むなど、西羅墨印仏比豪摩土以……等々万邦を漫遊いたします。

 本書には、『エラリー・クイーンの国際事件簿』『事件の中の女』の2集に併せて、ハリウッドを巡る摩訶不思議な「テイラー事件」、ファイロ・ヴァンスひいてはエラリー・クイーン誕生の契機となったエルウェル事件を描く「あるドン・ファンの死」を収録。クイーンが実話に取材し周到な手順でデータを提供、意外な真相に導く手練の妙技を見せます。

 2004年夏に先行企画としてお届けした、ダニエル・ネイサン『ゴールデン・サマー』に続いて、2005年もクイーン体験をどうぞ。

(2005年6月10日/2005年7月10日)