犬好き必読!
犬とアイルランドを同時に満喫できるお得な1冊

マージョリー・クォートン/務台夏子訳
『牧羊犬シェップと困ったボス』

牧羊犬シェップと困ったボス  ぼくはシェップ、住んでるところはウィシーン農場。アイルランドは西のはずれ、ゴールウェイ郊外にあるクールコフィンって町のちかくだ。仕事は農場の羊やら牛やらを集めること。ちゃんとブルーの血統書だってもってる。
 飼い主はボス。これは呼び名で、登録名はジャック・ケリーとかっていうらしい。でも気の毒に、ボスには血統書はない。奥さんの登録名はキャスリーン。ボスはついこの前、奥さんの鑑札をとったばかりだ(それまで忘れていたらしい。ひどい話だ)
 ボスはとっても怒りっぽいし、パブにいって酔っぱらうし、大声で歌もうたうけど、それでもぼくはボスが大好きだ。

 ウィシーン農場には、ぼくの他にジェスがいる。彼女はぼくとおなじボーダーコリーだ(言い忘れたけれど、ぼくはボーダーコリーなんだ)。彼女の血統書はピンクで、ぼくのよりも立派らしい。だからなのか、彼女は全然しごとをしない。でも彼女はいろんなことをぼくよりもよく知ってるし、なんといっても美人だ。

 こんなぼくが書いた本がこれ、『牧羊犬シェップと困ったボス』だ。
 このなかには、ぼくの実にアイルランド的なすばらしい毎日や、わくわくするような冒険(?)がたっぷり詰まってる。
 ボスが牧羊犬の競技会を見て、ジステンパーよりもたちの悪いトライアル熱にかかってしまい、ぼくと2頭6脚で競技会に参加することになった話やら、ぼくがフルージーっていう真っ白い毛のとびっきりの美女に誘惑されて誘拐されてしまった話やら、ぼくとジェスの息子であばれんぼうのタイニーの話やら、ボスと奥さんの息子で歌のうまいマーティンの話やら、個性的で愉快な犬の仲間たちや、ちょっと変だけど心優しい人間たちがいっぱいで、読んでくれたらアイルランドで牧羊犬をやりたくなることは間違いなしだと思う。

 それじゃあ、本屋さんで会おうね。

(2005年4月10日)