2005年6月29日(水)全世界同時公開
映画『宇宙戦争』War of the Worlds
H・G・ウェルズの『宇宙戦争』が
スティーブン・スピルバーグ監督、
トム・クルーズ主演で超大作映画化なる!

宇宙戦争


2005年5月、創元SF文庫より新訳決定版を刊行

● カバーイラストは初出誌〈ピアスンズ〉掲載の挿絵を WONDER WORKZ。が彩色したもの。挿絵は本文中にも多数再録しています。

宇宙戦争挿絵

 前々世紀末に英国の一人の思想家によって想像され、おそらく世界中の多くの読者のSF観を決定づけた傑作、『宇宙戦争』(1897年)。

 人類は決して、宇宙における万物の霊長ではない――通信網も発達していなかった時代に英国を襲った、誰も想像しえなかった戦争、それも原題どおりの「世界と世界の戦い」と未曾有の恐怖を描いた、H・G・ウェルズ(1866-1946)のこの希有な作品は、これまで何度もメディア化されてきました。

 1938年にオーソン・ウェルズがラジオ・ドラマ化し、その放送を聞いた人々が、本当に火星人が襲来してきたものと思いこみ、パニックを起こした――というのは、余りにも有名な実話です。また、同様によく知られているのは、1953年にジョージ・パルによって映画化されたもの。三原色の眼をした火星人と、非常に洗練されたデザインの戦闘機械(とはいえ、原作の三本足のウォー・マシンには及ぶべくもありません)が知られていて、こちらも古典として評価を得ています。また、1988年には続編として「新・宇宙戦争」がミニTVシリーズで製作・放映されました。

宇宙戦争挿絵

 この『宇宙戦争』が、小説ではその後、たとえば『降伏の儀式』(ニーヴン&パーネル)の原点となり、また映画の世界でも、先年話題になったエメリッヒ映画「インデペンデンス・デイ」の原点ともなったのは、誰にとっても疑いのないところです。

 2005年の夏は「宇宙戦争」と「スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐」、スピルバーグとルーカスのSF映画の夏。30年近く前、「『未知との遭遇』か『スター・ウォーズ』か」と、みんなが熱っぽく語っていた頃のことを思い出します。

カットは本文より。ウォーウィック・ゴーブル 画 

(2005年2月18日/2005年5月6日)