鯨統一郎理論が七不思議を斬る!
鯨統一郎『新・世界の七不思議』

新・世界の七不思議  やあやあ遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ――好評嘖嘖、奇蹟のデビュー作品集『邪馬台国はどこですか?』の姉妹編、いよいよ登場です!


 来日中のペンシルベニア大学教授ジョゼフ・ハートマンは、古代史の世界的権威。シンポジウムが終わり、あとは観光がてら京都などを廻って帰国するばかりとなった。しかも同業の早乙女静香が案内してくれるという。
 明日からの周遊を控えた月曜の夜、静香に連れられ、やってきたのは場末のバー。くたびれたスーツの客がたった一人、とぼけた顔のバーテンダーに酒と料理は期待できそうもない。早々に退散しようと決心したジョゼフだったが、ギムレットの味に気を取り直しているうち、否応なく話に巻き込まれてしまう。
ストーンヘンジの秘密 内心ため息をつきながら聴いていると、冴えないサラリーマンと見えた男・宮田六郎が、アトランティス大陸に関して静香と真っ向から切り結び、論戦を押し気味に進めていく。歴史の知識において丸腰同然の男が、完全武装の才媛から飄々と圧倒的なアドバンテージを奪ったのである。

 さて、美女とそぞろ歩く古都の街並みは……とはいかない。静香にキャンセルされては毎晩さびれたバーに通うジョゼフは、好事魔多しの展開を嘆く一方、幾つもの世紀を超えてきた“不思議”を解く宮田の論理に魅了されていく。バーテンダー松永が供する酒肴の味も嬉しい誤算。日本滞在のタイムリミットは気がかりだが、考古学者魂は至福の境に快哉を叫ぶのであった。


モアイ像の秘密  アトランティス大陸、ストーンヘンジ、ピラミッド、ノアの方舟、始皇帝、ナスカの地上絵、モアイ像。これらの謎が解けたとき、まなかいに新たな地平が拓かれる! あなたもジョゼフ・ハートマンと同じ心地を味わってみませんか?

(2005年2月10日)

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