2005年新年早々、観客動員数が1000万人を超えた宮崎駿監督のアニメーション『ハウルの動く城』。
その原作者として、ダイアナ・ウィン・ジョーンズは、日本でもイギリス本国なみにポピュラーになりました。
東京創元社も、2004年秋に新創刊したヤングアダルト叢書《創元ブックランド》に、『わたしが幽霊だった時』と『九年目の魔法』を収録。創元推理文庫では、同じく秋から《デイルマーク王国史》4部作を順次刊行してきました。
イギリスを思わせる架空世界デイルマークを舞台に、先史時代から現代にいたる歴史を描いたこの4部作は、ジョーンズが完結までに20年近くを費やした力作であり、《大魔法使いクレストマンシー》シリーズや《ハウル》2部作(ともに徳間書店刊)と並ぶ、まさに代表作といえるでしょう。1作ごとに変わる語り手の少年少女とともに、魔法が実在するこの世界を、旅してみてください。
最終巻『時の彼方の王冠』は、4部作の完結にふさわしく、物語は最長にして、先史から現代までを一貫する壮大さ。そのうえ、独立した物語だった前3作の主要登場人物が総出演し、ひとつの大きな物語を織り上げます。第3部『呪文の織り手』で、語り手の少女タナクイが織るローブのように。
(4部作のカバーイラストは、タペストリをイメージした続き絵になっています。ぜひ4冊を左から右に並べてみてください。)
なお、この4部作には、日本のファンタジイ作家、ジュヴナイル作家の方々に解説を書いていただきました。実作者のジョーンズ論、ファンタジイ論を、作品と併せてお楽しみください。