1994年に〈海外文学セレクション〉の1冊として刊行したセバスチアン・ジャプリゾ『長い日曜日』が、2005年3月12日の映画公開にあわせ、創元推理文庫に収録されます。
映画化名は「ロング・エンゲージメント」。監督はあの「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ。原作刊行時にこの作品に夢中になったジュネが映画化を考えたのですが、すでにワーナーに映画化権が買われていて涙を呑みました。ですが、時は移って「アメリ」で世界的な監督となったジュネが、いまだに映画化が実現していなかったこの作品について、じきじきワーナーに交渉。フランスで撮るという条件も呑ませて映像化を実現させたものなのです。
主演は、アメリ役のオドレイ・トトゥ。またジョディ・フォスターが、大役ではないが非常に意味のある役で登場します。
物語の時代は第1次大戦下。主人公マチルドの婚約者マネクが戦場で軍法会議にかけられ処刑される。しかしマチルドは彼の死を本能的に信じない。何かある。そして彼女の必死の調査が始まる。
すさまじい前線で何があったのか……。マネクの訃報は真実なのか? ジグソー・パズルのピースが次第に埋まっていくように、少しずつ見えてくる真実。見事な謎解きは、まさしくミステリ。映画の凄絶な戦場シーンと、それとは対照的なマチルドのいる絵画的な美しいシーンの数々。完成度の高い映画です。
『シンデレラの罠』『寝台車の殺人者』『新車の中の女』『殺意の夏』。ミステリ・ファンにとって忘れられない傑作群に、新たに加わるこの1冊をお見逃しなく!