前作『囁く谺』から2年ぶりの、ウォルターズの登場です。
ある冬の晩、ミセス・ラニラは隣人が道ばたで死にかけているのに出くわしてしまう。
その隣人の名はアニー・バッツ。この界隈で唯一の黒人であり、奇矯な言動から“マッド”・アニーとあだ名されていた。警察の結論は交通事故死だったが、ミセス・ラニラには、アニーの死に際の表情が「なぜ私が殺されなければならないのか」と訴えていたように思えてならなかった。彼女は事件に激しいショックを受け、夫と共に海外へ移住することになる。
それから20年後、イギリスに帰ってきたミセス・ラニラは、あれは殺人だったという決め手を求め、執念の捜査を開始するのだった……
ミネット・ウォルターズは、デビュー作『氷の家』で英国推理作家協会最優秀新人賞の栄冠に輝いたのち、第2作『女彫刻家』でアメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞を、第3作『鉄の枷』で英国推理作家協会ゴールドダガー賞を受賞、とミステリ界に華々しく登場しました。
その後も勢いは衰えることなく、昨年には Fox Evil で2度目のゴールドダガーを獲得しています。
(2004年6月10日)
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