押井守監督作品「イノセンス」は、
ヴィリエ・ド・リラダン『未来のイヴ』の
引用から始まります。

「われわれの神々もわれわれの希望も、
もはやただ科学的なものでしかないとすれば、
われわれの愛もまた
科学的であっていけないいわれがありましょうか」
 ──ヴィリエ・ド・リラダン『未来のイヴ』より


 「……開巻冒頭に引用されるエピグラフの出典は、ヴィリエ・ド・リラダンが1886年に発表した古典的ロボットSF『未来のイヴ』(齋藤磯雄訳/創元ライブラリ)。映画に登場するロクス・ソルス社製アンドロイドの製品名ハダリも、同書の中で天才科学者エディソン氏が発明する機械の美女の名前から。」
 ──大森望「ポストサイバーパンクの系譜」
  (徳間書店「SF JAPAN VOL.09」より)
 
(c) 2004 士郎正宗/
講談社・IG, ITNDDTD

 物語は近未来の日本、人間と機械化人間と人形の境界がきわめて曖昧な世界。 そこで愛玩用の少女型アンドロイドが暴走し、所有者を残虐な方法で殺害したのち自殺するという事件が続発する。捜査にあたる公安九課のバトーは、ロボットメーカーに乗り込むが……。

 テーマはいのち、せりふは哲学的。映像美に圧倒されつづける1時間40分です。

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(2004年3月5日)