ニューベリー賞受賞のヤングアダルト小説
『シカゴよりこわい町』から『シカゴより好きな町』へ
──待望の続編登場!

 おとなの本、子どもの本というジャンルを超えて、さまざまな年齢層から支持される物語があります。その好例がリチャード・ペック『シカゴよりこわい町』とその続編『シカゴより好きな町』といっていいでしょう。

『シカゴよりこわい町』では1920年代のシカゴで暮らす都会っ子の小中学生兄妹、ジョーイとメアリ・アリスが、毎年夏休み、田舎のおばあちゃんの家で一週間を過ごします。最初はおばあちゃんの大胆ぶりに度肝をぬかれる二人でしたが(なにしろ平気で銃をぶっぱなす! 正義のためなら法も犯す!)、「冒険心」をおおいに満たしてくれる祖母との生活は刺激的で、夏休みがだんだん待ち遠しくなってくるのでした。

『シカゴより好きな町』では、やがて兄ジョーイは仕事で家を離れ、15歳になった妹メアリ・アリスはたったひとり、親元をはなれておばあちゃんの家にやっかいになるはめに。当時のアメリカは不況でメアリ・アリスの一家は住むところを失っていたのです。彼女は転校を余儀なくされ、いったいどのくらい祖母の家で暮らさなくてはならないのか、不安な気持ちで列車に乗り込みました。今度は夏の一週間だけではないし、兄のジョーイもいないのだから。あのおばあちゃんとうまくやっていくにはどうすればいいの? しかし、すこしだけおとなになった少女は、あいかわらず祖母の行動に振り回されることはあっても、もうひるむことはありません。しっかり「祖母の流儀」を盗み、いつしか女同士で対等に渡り合うまでに成長していくのです。そんな元気のよさのいっぽうで、彼女の淡い初恋のゆくえも気になるところ……

 銃をぶっぱなすおばあちゃんが帰ってくる、『シカゴより好きな町』をお楽しみに!

●著者紹介 リチャード・ペック(Richard Peck)

アメリカ中部、イリノイ州の田舎町の生活を鮮やかに描き出したリチャード・ペックは、同じくイリノイ州ディケーター育ち。児童/ヤングアダルト向けの作品は20以上を数え、さまざまな賞を受賞している。1998年に発表された『シカゴよりこわい町』でニューベリー賞(アメリカで出版された優れた児童書に贈られる賞)の次席(オナー)に選出されたほか、全米図書賞児童書部門の最終候補作となって話題を呼んだ。『シカゴより好きな町』はその続編にあたり、ニューベリー賞を受賞、さらなる評判、幅広い読者の獲得に成功している。『シカゴよりこわい町』は日本でも2002年、第49回産経児童出版文化賞〈賞〉を受賞するなど、好評を博した。厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財(対象:中学生・高校生)。

(2003年8月15日)
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