再発見! 手塚治虫ワールドの果てしなき愉しみ
――石上三登志『定本 手塚治虫の世界』

 2003年の4月7日は、といえば、みなさんもう御存知でしょう、「鉄腕アトム」の誕生年です。これを機にアトムはTVアニメで復活、ハリウッドでも ASTRO BOY が制作中。さらに、手塚漫画を代表するもうひとりの主役、ブラック・ジャックのデビュー30周年。手塚治虫本人についての本や雑誌も数多く刊行されています。
 そして小社では、かの名著がタイトルも新たに、内容も充実して復活します。

定本 手塚治虫の世界 石上三登志『定本 手塚治虫の世界』

 これは、8歳でデビュー作『新宝島』と出会って以来、手塚作品を読み続けた著者からの「手塚治虫へのラブレター」であり、作品のあちこちに隠された「驚き」や「楽しさ」の宝物を探す地図であり、マニアには新たな楽しみを、手塚作品にあまり触れる機会のなかった読者にはその計り知れない面白さを伝えるガイドブックでもあります。
 最初に奇想天外社から刊行されたときの題名は『手塚治虫の奇妙な世界』。刊行後まもなく出版社が倒産、という不運な本でしたが、手塚氏自身が自分の本と間違えてサインをしてしまい、なおかつ講談社版の全集では自作解説に「石上の本を参照すること」などと書いているほど。本人が唯一認めた研究書は、これを置いてはないことでしょう。
 今回は、手塚氏没年に大陸書房から出た増補版『手塚治虫の時代』をさらに増補。かの「漫画の神様」が漫画にどのような夢を抱き、何を目指したかを、本人の遺したものから読み解いていきます。

(2003年6月15日)
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