創元SF文庫は、創元推理文庫(翻訳ミステリの専門叢書として1959年4月に創刊された)のSF部門として1963年9月にスタートしました。文庫本としては日本初の翻訳SF専門シリーズとなり、1991年11月に現在の創元SF文庫の名称に変更されました。現在までに600点以上の作品を刊行しています。
刊行第1弾はフレドリック・ブラウン『未来世界から来た男――SFと悪夢の短編集』。初刊時の装幀は松田正久氏でした(カバー写真下。現行版はカバー写真右、ワンダーワークス作成)。
当時の状況を、編集長だった厚木淳氏(その後、翻訳家。故人)が、巻末の「ノート」(解説)で記しています。
「推理小説は好きだがSFは読まない、という、いわゆる食わず嫌いの読者が日本ではまだ多いが、そういう点でブラウンのSFは長編も短編も、推理小説からSFへの橋渡しの役目を果たしてくれる絶好の手引きとなるだろう」
この作品は、SFショートショートの傑作短編集として愛読され、現在でも版を重ねています。
以下に、創刊時の作品を順に掲げます。
1『未来世界から来た男』フレドリック・ブラウン(1963年9月刊)
2『73光年の妖怪』フレドリック・ブラウン(1963年10月刊)
3『吸血鬼ドラキュラ』ブラム・ストーカー(1963年12月刊)
(その後、帆船マークに移動。現在は創元推理文庫F)
4『トリフィド時代―食人植物の恐怖―』ジョン・ウィンダム(1963年12月刊)
5『マラコット深海』アーサー・コナン・ドイル(1963年12月刊)
6『宇宙船ビーグル号の冒険』A・E・ヴァン・ヴォークト(1964年2月刊)
7『透明人間』H・G・ウェルズ(1964年2月刊)
8『不老不死の血』ジェイムズ・E・ガン(1964年8月刊)
9『太陽系帝国の危機』ロバート・A・ハインライン(1964年8月刊)
(その後、1994年6月になって新訳版『ダブル・スター』を刊行)
10『何かが道をやってくる』レイ・ブラッドベリ(1964年9月)
11『銀河帝国の崩壊』アーサー・C・クラーク(1964月10月)
(2003年1月15日/2004年6月10日)
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