創元コンテンポラリ

「文学」「エンタテインメント」といったジャンルの垣根をこえて、活きのいい小説を紹介していく、文庫の新レーベルです。海外小説の魅力はその多様性。かたちは従来の文庫のまま、選択の幅をひろげてみました。“新しさ(=ノヴェル)”を、今までどおり手ごろなサイズ・価格でお届けします。

 コンテンポラリ(contemporary)は「現代」「同時代」と訳されることの多いことばですが、当文庫では新進気鋭の現代作家から20世紀のニュー・クラシックまで、広義に解釈したラインナップでお送りします。

ジャックと離婚 『ジャックと離婚』 コリン・ベイトマン/金原瑞人・橋本知香訳
 飲んだくれで皮肉屋の新聞コラムニスト、ダン・スターキーが主人公のシリーズ第1弾。時まさに北アイルランド初の首相選挙の真っ最中に、軽い気持ちで引き受けた政府のバイトと女子大生との一夜の浮気が、スターキーを窮地へと引きずり込んだ……。
 女子大生はのどを掻き切られて死に、スターキーは容疑者扱い。その死の間際、残した言葉が「ジャックと離婚」だったことから、とりあえずどこの誰ともわからぬジャックを探しはじめる。が、警察やらIRA、UDAのテロリスト、政府の役人、どいつもこいつもスターキーを追ってくる! 事の真相、真犯人は? スターキーの運命はいかに?
 『スナッチ』『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』などの犯罪映画好きにもおすすめ。本書は2001年劇場公開映画『ディボーシング・ジャック』の原作。ビデオ/DVDは発売=アットエンタテインメント(http://www.at-e.co.jp)。

愛しのクレメンタイン 『愛しのクレメンタイン』 アンドリュー・クラヴァン/芹澤恵訳
 舞台は1980年代なかばのニューヨーク。詩人(著書はまだゼロ)で25歳のサマンサ・ブラッドフォードは、ふとしたきっかけから、マンハッタン地区検事局に勤めるアーサー・クレメンタインと結婚することになる。法曹界の住人の妻たるべく苦手な新聞を読み、精神分析医のカウンセリングをうけながらも、〈いのちの電話〉のボランティア相談員を務める奮闘の日々。彼女が辿る心の旅路の果てには、いったい何が待ちうけているのか……? 猥雑なユーモアと饒舌な語り口に乗って、繊細奔放な主人公の内面と人生がしだいに浮かび上がってくる本書は、ものすごくキュートで、ものすごく痛々しく、そして同時に、ものすごく感動的な物語。現代に生きるすべてのひとたちに贈る、瑞々しい傑作長編!

『綴り字のシーズン』 マイラ・ゴールドバーグ/斎藤倫子訳
全米でTV放映もされる一大イベント〈綴り字コンテスト〉。平凡な少女が綴りの天才とわかったとき、家族のバランスが崩れはじめた……。アメリカの大型新人登場!

『ウィーツィ・バット』 フランチェスカ・リア・ブロック/金原瑞人・小川美紀訳
〈ウィーツィ・バット ブックス1〉LAの街に暮らすクールな少女ウィーツィ・バット。ボーイフレンドと一緒にオトコをゲット? 大好評だった松浦弥太郎さんの表紙デザインで、待望の文庫化!

『ウィッチ・ベイビ』 フランチェスカ・リア・ブロック/金原瑞人・小川美紀訳
〈ウィーツィ・バット ブックス2〉ウィーツィの家の前に置かれていたのは、魔女の子だった! ワイルドなウィッチ・ベイビを迎え、ウィーツィ一家はどうなる?

このほかのラインナップ。

『チェロキー・バット』 フランチェスカ・リア・ブロック/金原瑞人・小川美紀訳
〈ウィーツィ・バット ブックス3〉
『エンジェル・フアン』 フランチェスカ・リア・ブロック/金原瑞人・小川美紀訳
〈ウィーツィ・バット ブックス4〉
『ベイビー・ビバップ』 フランチェスカ・リア・ブロック/金原瑞人・小川美紀訳
〈ウィーツィ・バット ブックス5〉
『ティース』 ヒュー・ギャラガー/池田真紀子訳
『ミシシッピ・シークレット』 リジー・ハート/安藤由紀子訳
『箱のなかのユダヤ人』 トマス・モラン/小林理子訳
『密猟者たち』 トム・フランクリン/伏見威蕃訳
『Lの憑依』 ハワード・ノーマン/茂木健訳

(2002年5月15日/2006年9月8日)