H・R・ハガード『洞窟の女王』が映像化


洞窟の女王  H・R・ハガードの冒険小説の傑作『洞窟の女王』が映像化されました。
 タイトルは「アッシャ 洞窟の女王」、監督は「ザ・ロストワールド」シリーズのティモシー・ボンド、出演はイアン・ダンカン、オフェリー・ウィンター、クリストフ・ウォルツ、マティーナ・コロンバーリ他。
 劇場未公開作で、2002年4月5日にパイオニアLDCよりDVD発売が開始されました。ぜひ、原作と併せてお楽しみください。

 考古学者だった亡き父親が残した一枚の地図と、自分にそっくりな肖像を封じたスカラベの細工の指輪。青年レオはそれらが封じられた父の形見の箱を開けた夜、自分をまねく美しい女性の幻を見る。
 その妖しい姿に導かれるように、レオとその養父ホリー教授、執事のジョブの三人は、はるばるケンブリッジからシルクロードのオアシス都市サマルカンドを目指すのだった。
 そして地図に記された目印を頼りにさらに奥地へと分け入った一行は、アマハッガー族という原住民に捕らえられ、彼らを支配するという女王の都コールへ連れていかれる。
「我々が従わねばならぬお方」とアマハッガー族が呼ぶ彼女こそ、レオが幻で見た美しい女性であり、アレクサンダー大王の時代から何千年もの間生きてきたという不思議な女性であった。
 その女王アッシャはレオに、彼こそ自分が2000年以上前に愛したが、嫉妬のあまり自らの手で殺してしまったイシスの神官カリクラテスの生まれ変わりだと告げる。そして彼女と共に神秘の炎を浴びて不死の生を手に入れるように誘うのだが……。

『洞窟の女王』は、これまでにも2度映画化されています。最初は「洞窟の女王」(1935年)のタイトルで日本公開、アーヴィング・ピシェル&ランシング・C・ホールデン監督、ヘレン・ガハガン、ランドルフ・スコット、ヘレン・マック主演。その次は「炎の女」(1965年)の邦題で公開され、監督はロバート・デイ、出演はウルスラ・アンドレス、ジョン・リチャードソン、ピーター・カッシング、クリストファー・リー他。
 また、原作には続編があります。その名もズバリ『女王の復活』(Ayesha The Return of She)。正編がアフリカを舞台にしていたのに対し(今回の映画ではシルクロード上の街ですが)、続編のほうはチベットが舞台で、主人公は同じく美青年レオ・ヴィンシイと、その保護者ホリー、そしてもちろん女王アッシャ。
『洞窟の女王』から18年後に書き上げられた『女王の復活』も、ぜひお読みください(品切れの際はご容赦ください)。
(2002年4月15日)
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