笠井潔《矢吹駆シリーズ》

 笠井潔氏の最新長編『オイディプス症候群』と評論集『探偵小説論序説』が刊行され、話題を呼んでいます(ともに光文社刊)。
『オイディプス症候群』は矢吹駆シリーズの第五弾。エーゲ海の孤島ミノタウロス島に建つダイダロス館に集う十人の男女が次々と殺されていくという、孤島連続殺人ものの傑作です。
 そして、それに至るシリーズ第一作から四作までの作品――『バイバイ、エンジェル』『サマー・アポカリプス』『薔薇の女』『哲学者の密室』はすべて創元推理文庫に収録されています。最新作を十全に愉しむためにも、ぜひこの機会に第一巻からの通読をお勧めいたします。
 また、創作と並行して行なわれている笠井氏の評論活動は、今回発売された『探偵小説論序説』と、小社刊の『探偵小説論1 氾濫の形式』および『探偵小説論2 虚空の螺旋』で三部作を構成しています。氏の大量死理論を、原理的、歴史的に裏付けた画期的な探偵小説論です。腰を落ち着けてじっくりと読書の楽しみを満喫したい、と思われている方に最適です。

矢吹駆シリーズ◎創元推理文庫

『バイバイ、エンジェル』
『サマー・アポカリプス』
『薔薇の女』
『哲学者の密室』

探偵小説論の白眉◎四六判上製

『探偵小説論1 氾濫の形式』
『探偵小説論2 虚空の螺旋』

バイバイ、エンジェル サマー・アポカリプス 薔薇の女
(2002年4月15日)
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