創元SF文庫刊『レッド・マーズ』が
1999年度(第30回)星雲賞を受賞!

 去る7月3日〜4日、長野県白馬にて開催された第38回日本SF大会「やねこん」において、昨年、小社・創元SF文庫より刊行しました、キム・スタンリー・ロビンスン『レッド・マーズ』(大島豊訳)が、星雲賞・海外長編部門を受賞しました(スティーヴン・バクスター『タイム・シップ』と同票、同時受賞)。
 星雲賞は、毎年開催される日本SF大会において、その大会に参加したSFファンの投票によって決定される、日本SFファングループ連合会議主催の年次最優秀作品賞です。
 今回の受賞にあたり、著者キム・スタンリー・ロビンスン氏と、翻訳者・大島豊氏からメッセージをいただきましたので、ご紹介させていただきます。

 また、『レッド・マーズ』のカバーイラストレーションをお描きいただいた加藤直之氏から、『レッド・マーズ』のカバーを飾ったイラストを特別に印画紙出力したカラープリント一枚を、プレゼント用にいただいています。「加藤直之氏の『レッド・マーズ』イラスト希望」と明記の上、このHP宛に、メールにてご応募ください。当選された方には、こちらから折り返しご連絡いたします。〆切は、1999年8月末日とさせていただきます。【プレゼントの応募は締め切りました

星雲賞受賞の言葉

著者キム・スタンリー・ロビンスン氏からのメッセージ

『レッド・マーズ』が星雲賞海外長篇部門を受賞したことは嬉しく、また私の名誉とするところです。この本を出版してくれた私の日本の出版元・東京創元社と翻訳してくれた大島豊に感謝したいと思います。私自身フランス語から英語への翻訳を少々やった経験があるので、翻訳がいかに大変な仕事か承知していますし、またいかに重要な仕事であるかもわきまえているつもりです。ですから私にとってこの受賞は、大島氏がすばらしい仕事をされたことの証しでもあります。謎めいた文字で印刷された(日本には質の良い二重焦点眼鏡があるのでしょうね)『レッド・マーズ』日本語版を見ていると、自分がまさに太平洋を越えて皆さんに皆さん自身の言語で話しかけていることを実感し、たいへん嬉しくなりました。私が小説で描いたように、そのこともまた、火星に人間が住むようになる(それはまず心の中で起きるものです)のが国際的な事業であり、日本はその中で大きな役割を果たすことを示唆している証しと私には思われます。あらためてありがとうございました。キム・スタンリー・ロビンスン。(大島豊訳)


翻訳者 大島豊氏からのメッセージ

 この度は小生の翻訳した作品に対し、星雲賞をいただきまして、まことにありがとうございます。小生もまた、このすばらしい作品を書かれた原著者、この作品を翻訳する機会を与えてくださった版元および編集担当者に、心からの感謝を捧げるものです。翻訳者として、また一SFファンとしてこのような作品を仕事とさせていただいた幸運を噛締め、また心から喜んでいるところです。小生が生きて火星の地を踏むことはまずありますまいが、火星に骨を埋めようとする人びとが赤い星に降立つところをこの目でみることを夢見て、続く『グリーン・マーズ』『ブルー・マーズ』をできるかぎり早く仕上げるよう努力する覚悟です。ありがとうございました。

(1999年7月)
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