8月24日午後4時、東都電力熊谷支社の鉄塔保守要員一名殺害。午後7時、信濃幹線の鉄塔爆破。午後9時、東北連系線の鉄塔にヘリが衝突、倒壊。さらに鹿島火力発電所・新佐原間の鉄塔倒壊――しかしこれは、真夏の東京が遭遇した悪夢の、まだ序章に過ぎなかった。最後の希望が砕かれたとき、未曾有の大停電が首都を襲う!
目的達成のため暗躍する犯人たち、そして深刻なトラブルに必死に立ち向かう市井の人々の姿を鮮やかに描破した渾身の雄編。業界注目の気鋭が描く、超弩級のクライシス・ノヴェル!
◎本書の概要◎ ◎著者プロフィール◎ ◎著者のことば◎ ◎書店員さんからのメッセージ◎ ◎立ち読み◎
著者:福田和代 |
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眠らない街東京、その東京が電力を断たれた時果たしてどうなってしまうのか? あって欲しくはないがあり得る。このドキドキ感で一気に読みました。 こんなに密度の濃い一日を初めて知った。首都東京を震撼させた犯罪以上に作者の傑出した才能が恐ろしい。空のない東京に瞬いた星。何度読んでも涙がこぼれ落ちた。 大都市の暗転と狂気を、点景を結んで浮かび上がる筆致を見よ! 壮大な策と秘めた動機が、まるで星座のように印象深く光を放つ。 東京を大停電に陥らせた電力テロ! スケールの大きな話でありながら、登場人物たちの織りなす人間ドラマに胸が熱くなりました。熱烈に映像化を希望します!! スピーディな展開で最後までぐいぐいっと読まされました! 大規模な犯罪と対比して描かれる個々の事情が胸を打つ、読み応えのある物語でした! こりゃもう何が何でもドラマ化いやいや映画化してもらわねば!! 読み応え、堪能しがいのあるドラマの数々も颯爽とした深みと余韻があってひどくいい。 それぞれの視点・立場から一つの事件を見ている構成がとても緻密に描かれていて面白い。私たちの生活が電気なしでは成り立たないところまできていているのを思い知らされた。 |
追う側の事情と追われる者たちの物語。圧倒的なディティールと類い稀なる叙情性が交錯する。どちらかが欠けたら、この傑作は生まれなかっただろう。 テレビをつけ、この事件がまだ起きていないというのは単なる“幸運”にすぎない。現実と虚構(フィクション)の境目が融けていく、このリアルさが一番の恐怖だ。 パニックサスペンスとして一気読みできるが、犯人側の背景などに現代日本の歪みが巧く表現されている。意外な「真の動機」の後に浮かび上がる感動にやられた。 きらびやかな虚飾の背後に、静かに存在し続ける無数の星たち。著者は、東京の夜空に静謐なる真実と力強く輝く希望とを浮かび上がらせた。 「東京に殺された……。」全てはここからはじまったといえる過激な犯行、だが胸がとてもせつなくなるラストにやられました。 善と悪、被害者と加害者、光と闇。倫理観は、蝋燭の炎の様に揺れ動く。停電をきっかけに、人々から人工の光を奪い、闇の中に人間本性を描いた力作。 |