未曾有の大停電が、東京を襲う TOKYO BLACKOUT

本書の概要◎  ◎著者プロフィール◎  ◎著者のことば◎  ◎書店員さんからのメッセージ◎  ◎立ち読み

TOKYO BLACKOUT


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著者:福田和代
刊行日:2011年8月12日
価格:987円(本体価格940円)
判型:文庫判 464ページ
ISBN:978-4-488-41711-6

大型新人が満を持して放つ超弩級のクライシス・ノヴェル!

 8月24日午後4時、東都電力熊谷支社の鉄塔保守要員一名殺害。午後7時、信濃幹線の鉄塔爆破。午後9時、東北連系線の鉄塔にヘリが衝突、倒壊。さらに鹿島火力発電所・新佐原間の鉄塔倒壊――しかしこれは、真夏の東京が遭遇した悪夢の、まだ序章に過ぎなかった。最後の希望が砕かれたとき、未曾有の大停電が首都を襲う!
 目的達成のため暗躍する犯人たち、そして深刻なトラブルに必死に立ち向かう市井の人々の姿を鮮やかに描破した渾身の雄編。業界注目の気鋭が描く、超弩級のクライシス・ノヴェル!


福田和代プロフィール
 1967年神戸市生まれ。神戸大学工学部卒。2007年、関西国際空港を舞台にハイジャック犯と警察との攻防を描いた長編『ヴィズ・ゼロ』でデビュー、圧倒的な取材力とリーダビリティが高く評価される。著作に『迎撃せよ』(角川書店)、『タワーリング』(新潮社)、『怪物』(集英社)、『リブート!』(双葉社)などがある。今後の更なる活躍が期待される要注目作家で、本書は待望の初文庫化である。


著者のことば


 世の中と人々の暮らしを支える、〈名もなき〉人々を書くのが好きです。
 けっして脚光を浴びることなく、ただ自分の仕事を地道に、淡々と毎日こなしている人々。あなたや、私の隣に常にいるような、ごく普通の人々。彼ら、または彼女らのおかげで、私たちはスイッチを押せば明かりがつき、蛇口をひねると水が出る、そんな〈あたりまえ〉の生活を享受できています。

 この三月、〈あたりまえ〉の暮らしが、けっして〈あたりまえ〉ではないことを、いやでも思い起こさねばならない日が訪れました。  未曾有の災害を前に、日常生活を取り戻すために立ち上がったのも、やはり〈名もなき〉人々でした。失われた街に道を通し、安全を守り、インフラを整備し――。
 そのことを考えるとき、ふと『TOKYOBLACKOUT』で自分が書いた、あるシーンを思い出しました。霞ヶ関のビル群に明かりが戻るのを見て、生方警視が独白します。
”――なに、切り抜けられるだろう。
 頭を下げて車に乗りこむ水元を見送りながら、生方は空を見上げた。三日間の輪番停電だろうがなんだろうが、この逞しさがあれば、切り抜けられる。”
 自分が書いた言葉に対して、こんなことを言うのは面映ゆく恥ずかしくもあるのですが、実はいま、この言葉を、ほとんど祈るように噛みしめています。

(文庫版あとがきより抜粋)

福田 和代


全国の書店員からの絶賛メッセージ
(敬称略 名前五十音順)

眠らない街東京、その東京が電力を断たれた時果たしてどうなってしまうのか? あって欲しくはないがあり得る。このドキドキ感で一気に読みました。
――芳林堂書店津田沼店 飯田和之

こんなに密度の濃い一日を初めて知った。首都東京を震撼させた犯罪以上に作者の傑出した才能が恐ろしい。空のない東京に瞬いた星。何度読んでも涙がこぼれ落ちた。
――三省堂書店営業本部 内田剛

大都市の暗転と狂気を、点景を結んで浮かび上がる筆致を見よ! 壮大な策と秘めた動機が、まるで星座のように印象深く光を放つ。
――ときわ書房本店 宇田川拓也

東京を大停電に陥らせた電力テロ! スケールの大きな話でありながら、登場人物たちの織りなす人間ドラマに胸が熱くなりました。熱烈に映像化を希望します!!
――有隣堂アトレ恵比寿店 加藤泉

スピーディな展開で最後までぐいぐいっと読まされました! 大規模な犯罪と対比して描かれる個々の事情が胸を打つ、読み応えのある物語でした!
――三省堂書店京都駅店 鶴岡寛子

こりゃもう何が何でもドラマ化いやいや映画化してもらわねば!! 読み応え、堪能しがいのあるドラマの数々も颯爽とした深みと余韻があってひどくいい。
――三省堂書店ルクア大阪店 中澤めぐみ

それぞれの視点・立場から一つの事件を見ている構成がとても緻密に描かれていて面白い。私たちの生活が電気なしでは成り立たないところまできていているのを思い知らされた。
――紀伊國屋書店玉川高島屋店 平野千恵子

追う側の事情と追われる者たちの物語。圧倒的なディティールと類い稀なる叙情性が交錯する。どちらかが欠けたら、この傑作は生まれなかっただろう。
――紀伊國屋書店梅田本店 星真一

テレビをつけ、この事件がまだ起きていないというのは単なる“幸運”にすぎない。現実と虚構(フィクション)の境目が融けていく、このリアルさが一番の恐怖だ。
――青山ブックセンター六本木店 間室道子

パニックサスペンスとして一気読みできるが、犯人側の背景などに現代日本の歪みが巧く表現されている。意外な「真の動機」の後に浮かび上がる感動にやられた。
――啓文社コア福山西店 三島政幸

きらびやかな虚飾の背後に、静かに存在し続ける無数の星たち。著者は、東京の夜空に静謐なる真実と力強く輝く希望とを浮かび上がらせた。
――ブックファースト梅田店 南口真

「東京に殺された……。」全てはここからはじまったといえる過激な犯行、だが胸がとてもせつなくなるラストにやられました。
――丸善お茶の水店 横田陽子

善と悪、被害者と加害者、光と闇。倫理観は、蝋燭の炎の様に揺れ動く。停電をきっかけに、人々から人工の光を奪い、闇の中に人間本性を描いた力作。
――大垣書店営業本部 吉川敦子

TOKYO BLACKOUT