綾部蓮という青年は、私たちにとって遠い国の王様のような存在だった。神の贈り物と呼ぶべき才能に恵まれ、美貌をもって周囲の人々を傅(かしず)かせた彼が自殺した時、理由を知る者はいなかった。永遠に時を止めたままの彼を誰もが追い越し忘れ去っていくなか、私たちは思い出す。なぜ青年は自ら命を絶ったのか? 人生の一時期に齎(もたら)される謎と恩寵を忘れ難い余韻とともに描き切った傑作。解説=大矢博子
サザナミノオウコク 漣の王国
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