叔父を殺したことは固く秘しておくべきだった。
自殺するなんてと母が泣き続けるものだから、本当はわたしが崖から突き落としたのだとわかれば、すこしは気が楽になるかと思ったのだ。
震災で妻を失いPTSDに苦しむ叔父との同居に疲弊する家族のために、小学六年生の左右田理恵(そうだりえ)は叔父を殺した。
その四年後、理恵は奇妙な夢を見るようになる。
荒れ果てた灼熱の地で岩蔭と食糧を求める「鬼」の集団。
かれらは二つの勢力に分かたれ争い殺し合う――その法則を理恵に教えたのは、同じ夢を共有する一人の少年だった。
鬼才の幻視文学の頂点となる幻の傑作、初単行本化。解説=春日武彦・北原尚彦
ラセツコクツウシン 羅刹国通信
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内容紹介
目次
「羅刹国通信」
「続羅刹国報」
「続々羅刹国――雨の章――」
「続々羅刹国――夜の章――」
「解説」 春日武彦
「津原国通信」 北原尚彦
「続羅刹国報」
「続々羅刹国――雨の章――」
「続々羅刹国――夜の章――」
「解説」 春日武彦
「津原国通信」 北原尚彦