内容紹介
ここ蝦蟇倉(がまくら)市では、不可能犯罪がよく起こる。廃墟や神社に死体を隠す少女、互いに秘密を抱えたまま無人の球場で会話する高校生、そして事件を追って街を訪れるルポライター。高台にあるレストランで、古書マニアが住むアパートの一室で、森の中の美術館で──。この街で起こる事件は、仕掛けと遊び心に満ちている。架空の都市を舞台に同世代の人気作家が競演する「街」の物語。(『蝦蟇倉(がまくら)市事件2』を文庫化にあたり改題) 解説=福井健太
目次
北山猛邦「さくら炎上」
桜坂洋「毒入りローストビーフ事件」
村崎友「密室の本」
越谷オサム「観客席からの眺め」
秋月涼介「消えた左腕事件」
米澤穂信「ナイフを失われた思い出の中に」
著者紹介
秋月涼介
(アキヅキリョウスケ)
1971年生まれ。2001年『月長石の魔犬』で第20回メフィスト賞を受賞してデビュー。他の著書に『迷宮学事件』『紅玉の火蜥蜴』『消えた探偵』がある。
北山猛邦
(キタヤマタケクニ)
1979年生まれ。2002年、『「クロック城」殺人事件』で第24回メフィスト賞を受賞してデビューする。物理トリックに定評がある一方、幻想的な独自の世界観でも読者を魅了し続ける。著書に『踊るジョーカー』『密室から黒猫を取り出す方法』『少年検閲官』『オルゴーリェンヌ』『アルファベット荘事件』『「アリス・ミラー城」殺人事件』『つめたい転校生』『私たちが星座を盗んだ理由』『月灯館殺人事件』などがある。
越谷オサム
(コシガヤオサム)
1971年東京都生まれ。2004年『ボーナス・トラック』で第16回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してデビュー。11年に刊行された『陽だまりの彼女』の文庫版は、累計発行部数100万部を突破している。主な著書に『階段途中のビッグ・ノイズ』『空色メモリ』『金曜のバカ』『いとみち』『くるくるコンパス』がある。
桜坂洋
(サクラザカヒロシ)
1970年東京都生まれ。2003年『よくわかる現代魔法』を刊行してデビュー。05年「さいたまチェーンソー少女」が第16回SFマガジン読者賞、09年「ナイト・オブ・ザ・ホーリー・シット」が第20回SFマガジン読者賞を受賞。『All You Need Is Kill』『スラムオンラインEX』や『キャラクターズ』(東浩紀と共著)などがある。『All You Need Is Kill』は14年にトム・クルーズ主演で公開。
村崎友
(ムラサキユウ)
1973年京都府生まれ。成城大学卒。2004年『風の歌、星の口笛』で第24回横溝正史ミステリ大賞を受賞してデビュー。他の著書に『たゆたいサニーデイズ』『修学旅行は終わらない』がある。
米澤穂信
(ヨネザワホノブ)
1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞してデビュー。青春小説としての魅力と謎解きの面白さを兼ね備えた作風で注目され、『春期限定いちごタルト事件』などの作品で人気作家としての地位を確立する。11年に『折れた竜骨』で第64回日本推理作家協会賞、14年『満願』で第27回山本周五郎賞、21年『黒牢城』で第12回山田風太郎賞、翌年には同作品で第166回直木賞を受賞。ほかの著書に『さよなら妖精』『犬はどこだ』『王とサーカス』『真実の10メートル手前』『追想五断章』『リカーシブル』『本と鍵の季節』『可燃物』『米澤屋書店』などがある。