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中井英夫全集10 クロゴノタンカシ 黒衣の短歌史

黒衣の短歌史

在庫なし

定価
2,090円(本体価格:1,900円)
ジャンル
  1. 一般文芸 > 全集
レーベル
  1. 創元ライブラリ
シリーズ
  1. 中井英夫全集 10
判型
文庫判
ページ数
839ページ
初版
2002年2月22日
ISBN
978-4-488-07014-4
Cコード
C0193
文庫コード
L-な-1-10

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内容紹介

葛原妙子、塚本邦雄、中城ふみ子、寺山修司、春日井建……戦後短歌壇のきらめく星座は、短歌専門誌の辣腕編集者中井英夫によって見出された。短詩文学における中井の業績を集大成する本書には、詩、短歌論集『黒衣の短歌史』と『暗い海辺のイカルスたち』に加え、新資料として「中井英夫・中城ふみ子往復書簡」を収録。解説=菱川善夫

目次

10『黒衣の短歌史』(2002) 詩篇・短歌論

『詩篇』
〈水星の騎士〉
〔一九三六年〕
「短唱」/「かげらふの恋」/「羽虫」
〔一九三七年〕
「「貧しき子の夢」抄」/「青きかなしみ」/「毒蛇」/「未亡人の夜」/「三者」/「ひねくれもの」/「登場」/「己惚」/「白い犬」/「時を送る唄」/「地球追放」/「黒猫に」/「罪の日」/「水星の騎士」/「秘密」/「塔」/「あしおと――大晦日に――」
〔一九三八年〕
「酒場にて(深夜/黎明)」/「残骸」/「四月の会話」/「地平線のうた」/「少年の夜」/「果樹園断章」
〔一九三九年〕
「兄」/「ある序詩」/「囚人の歌――附属中学校々庭歌」/「涙のあとに」/「ある家の夜」/「小さな家の火事」
〔一九四〇年〕
「わが眼のうた――われはつねに左眼をにくみぬ(左眼のうた/右眼のうた)」/「速達」/「他人【ひと】に」/「ちちははとその子のうた(序/家出/その子のうた1/両親に/その子のうた2)」/「二月の或夜に」/「海を渡り終へた基督 マタイ伝・xiv・25」/「ひぐれと子供達」/「蟻の詩人」/「五月を送るうた(草の夜/薔薇に寄す/旅立ち/小犬と蛇/月との喧嘩/くりや風物/古い館の詩/五月の入口)」/「断章」/「谷底の詩」/「矢」/「詩編あとがき」
〈眠るひとへの哀歌〉
〔*眠るひとへの哀歌 一九六九・二〕
「白い手」/「眠るひとへ」/「不在の手」/「旅へ」/「炎」/「音楽」/「朝食」/「海への扉」/「手を逃れて」
〔*祈りの翅 一九七一〕
「朱」/「洞」/「翅」/「棘」/「鏡」/「沼」
〔*水の中の声 一九六四―六五〕
「夜、翼は遠いために」/「指と水仙」/「人形」/「遠くへ行つた人と俺」/「水仙の一束が届けられた…」/「ある朝」/「譚」/「氷雨」
〔*蝕まれた人 一九四六〕
「敗戦図」/「蝕まれた人」/「「不明氏の墓」に寄せて」/「凍える花」/「行列」/「十二月の僧院」/「翼と影」/「歳暮の天使」/「挽歌 私の一九四六年を送る」/「愚神」
〔*白日のフオーヌ 一九四七―五三〕
「氷の女」/「唇に寄す」/「草上哀歌」/「即興詩(星/正午/蛙)」/「首――弔歌第二番」/「優雅な犯罪」/「首吊りのうた」/「屍体」/「雨の夜」/「白日のフオーヌ」/「邦1-5」/「あとがき」
〈哀傷詩集〉
「かくも空しき……」/「鐘――弔歌第一番」/「首――弔歌第二番」/「蝕――弔歌第三番・吾を弔う唄」/「箱」
〈拾遺詩篇〉
〔*戦中詩篇 一九四四―四五〕
「暗き部屋にて」/「六月ノ遺書」/「消ゴムの唄」/「敗戦 B29ヨリ東京上空ニマカレタル宣伝ビラ」/「戯詩・時の馬車」
〔*〈白日のフオーヌ〉前後 一九四八―五四〕
「病室」/「断片 太宰治氏に」/「横顔」/「風の中」/「祝砲」/「点景」/「港にて」/「夜がその死を教へてくれた…」/「河明り」「邦6」/「五月」/「公園 巡査は偏光眼鏡をかけた」/「鍵 中城ふみ子に」/「奇妙な水族館」/「水死人」
〔*〈水の中の声〉拾遺 一九六四―六五〕
「からつぽの掌に寄す」/「隊商」/「指の翼」/「LARME NOIRE」/「戯詩二篇(唇を?/死ね!)」/「終りの唄」
〔*〈眠るひとへの哀歌〉前後 一九六九・二〕
「修羅」/「音」/「黄」/「刻」/「声」/「花」/「病院」
〔*〈祈りの翅〉前後 一九七一・五〕
「風」/「街で」/「友人および」/「夜会」/「独楽(こま)」/「緑の教え」
〈香水に寄せる11の脚韻詩の試み〉
「黒衣の紡ぎ手/アルページュ」/「緑の血/アンフィニ」/「金の供物/カレーシュ」/「紗の帷/シャネルNo.19」/「泡立つ花束/ジョイ」/「青の仲間/フィジー」/「早春の訣れ/ミス・ディオール」/「星の宴/夜間飛行」/「恋の刑務所/ランテルディ」/「片頬/リヴゴーシュ」/「踊り子/レール・デュ・タン」

『黒衣の短歌史 現代短歌論』(1971)
〈黒衣の短歌史〉
「はじめに」/「二十代について」/「昭和二十~二十三年」/「昭和二十四~二十五年」/「斎藤茂吉・窪田空穂両先生をお尋ねして」/「さよなら一九五〇年」/「大谷友右衛門丈と語る――短歌と歌舞伎と――」/「短歌に関するアンケート」/「第三の世界――笠井正弘君の手紙から――」/「独創について」/「隕石と極楽鳥」/「職場短歌ルポルタージュ――日本製鉄――」/「海外の短歌雑誌」/「昭和二十六~二十七年」/「とらんぷ」/「前田夕暮先生との一時間」/「南原総長と短歌」/「歌人印象記」/「歌人文体模写」/「歌壇鬼語」/「昭和二十八~二十九年」/「光の函」/「送風塔」/「無用者のうた(1)」/「十代について」/「唖の唄」/「昭和三十年以降」/「無用者のうた(2)」/「「火星植物園」ほか」/「おわりに」/「墓の前で」
〈現代短歌論〉
「模倣のすすめ」(1960)/「無用者のうた――戦後新人白書――」(1961)/「現代の魔女――葛原妙子小論――」(1963)/「短歌の墓」(1971)/「眠れゴーレム――寺山修司論――」(1971)/「“夏のために”――『岡井隆歌集』――」(1972)/「標的としての現代歌人」(1973)/「緑の翼――石川不二子小論――」(1973)/「むなしさの母胎」(1960)/「クウェート国通信」(1959)/「あとがき」(1975)

『暗い海辺のイカルスたち』(1985)
〈I 古今集と現代短歌〉
「蛬【きりぎりす】いたくいなゝきそ」(1975)/「古典と現代の“花”」(1976)/「流砂の中で――俊成と定家」(1982)
〈II 季花短歌彩(ころもよしたんかのいろどり)〉
「紅と黒 斎藤茂吉」(1984)/「緑と白 葛原妙子」(1984)/「緋と黄 村木道彦」(1984)/「灰と朱 中城ふみ子」(1984)/「紺と青 寺山修司」(1984)/「桃と杏 斎藤史」(1984)/「紫と橙 宮柊二」(1984)/「光と影 山中智恵子」(1984)/「明と暗 浜田到/春日井建」(1984)/「水と藤 蕗子/不二子/禎子/愛子/あき子」(1984)/「金と銀 塚本邦雄」(1984)/「血と闇 釋迢空」(1984)
〈III 斎藤茂吉と北原白秋〉
「地上の茂吉・地下の茂吉」(1979)/「茂吉秀詠――『白き山』」(1982)/「三色旗の旗手」(1981)
〈IV 中城ふみ子と寺山修司〉
「ゴモラの百二十日」(1976)/「死の朝――中城ふみ子追悼」(1984)/「中城ふみ子について」(1966)/「風のやうに」(1980)/「さむき視野」(1983)/「父還せ」(1980)/「水晶仏と薔薇――寺山修司追悼」(1983)/「隠れんぼ」(1983)/「われに五月を」(1983)/「同じ谷間――『われに五月を』」(1985)
〈V 祈りの歌・翳のある歌〉
「祈りのうた」(1980)/「翳のある歌」(1984)/「球体の幻視者――葛原妙子」(1978)/「沼の底の悲鳴――塚本邦雄・寺山修司の原点」(1976)/「遠い潮騒――「ジュルナール律」のこと」(1979)/「暗い海辺のイカルスたち」(1973)
〈VI 対談・前衛短歌開花の背景――中井英夫・三枝昂之〉(1982)
「あとがき」(1985)

『中井英夫・中城ふみ子往復書簡』

解説 短歌にえらばれた使徒・中井英夫:菱川善夫/解題:本多正一
中井英夫全集付録9(「特訓三か月――わが師中井英夫」冨士田元彦、「「中城ふみ子展」のときのこと」玉川薫)

著者紹介

中井英夫 (ナカイヒデオ)

1922年東京生まれ。東京大学文学部中退。日本短歌社、角川書店で短歌誌編集に従事。1964年、塔晶夫の筆名で刊行されたアンチ・ミステリ『虚無への供物』は、探偵小説の歴史のみならず20世紀文学に金字塔を打ち立てることになった。1974年、『悪夢の骨牌』で第2回泉鏡花文学賞受賞。1993年歿。創元ライブラリ版『中井英夫全集』では、『黒鳥譚』『とらんぷ譚』以下の幻想耽美小説、『香りの時間』に始まる洒脱なエッセイ、戦中日記『彼方より』、詩篇・短歌論など多彩な業績がコンパクトに集成されている。

著訳者の既刊本