2011年度の鮎川哲也賞
贈呈式ひらかる

 2011年10月7日、飯田橋のホテル メトロポリタン エドモント〈悠久の間〉にて、〈第21回鮎川哲也賞〉の贈呈式が開かれました。当日は、多数の皆さまにご来席いただいたほか、動画共有サービスUstream(ユーストリーム)によるインターネット生中継もおこないました。

2011年度贈呈式の模様1〈第21回鮎川哲也賞〉は山田彩人氏『眼鏡屋は消えた』が受賞しました。また、〈第8回ミステリーズ!新人賞〉は既報どおり受賞作なしとなりました。

 〈第21回鮎川哲也賞〉の選考経過と選評を、選考委員を代表して島田荘司先生が述べられました。

「『眼鏡屋は消えた』は、本格ミステリとして素晴らしいうえに、ユーモアを交えた文章力があった。そして特筆すべきは女性の描写力だろう。即戦力であるのでミステリ界を牽引していく自覚を持ってこれからもたくさんの作品を書いていただきたい」

 受賞者の山田彩人氏が登壇され、小社社長・長谷川晋一より賞状が授与されました。さらに選考委員の笠井潔先生より、正賞のコナン・ドイル像が手渡され、〈第20回鮎川哲也賞〉の受賞者である安萬純一先生より花束が贈呈されました。また、〈浜松ミステリー愛好会〉からの記念の花束が、谷島屋書店メイワン店・寺田結美さんより、2010年にご逝去された北森鴻先生のご遺族からの花束が、愛川晶先生より贈呈されました。

 受賞の挨拶で、山田彩人氏は「大勢の人の前で話すのは苦手なものですから、鮎川哲也賞を受賞できたことに大変な喜びと、少し居心地の悪さを感じております。本当にありがとうございました」と、受賞の喜びを語られました。

 続いて、〈第8回ミステリーズ!新人賞〉の選考経過と選評を、選考委員を代表して貫井徳郎先生が述べられました。

「全体的な傾向として、ミステリが好きで応募したというより、小説家になりたいという思いで応募された作品が多いように感じた。最後に納得させてくれる作品がなく、受賞作なしという結果になった。伏線の張り方など、ミステリの作法を学んでほしい」

2011年度贈呈式の模様2  最後に、乾杯の辞として、著書『折れた竜骨』が第64回日本推理作家協会賞、長編及び連作短編集部門を受賞した米澤穂信先生よりお言葉をいただき、その後大いに歓談が盛り上がりました。

 鮎川哲也賞受賞作、山田彩人『眼鏡屋は消えた』は好評発売中です。同賞および〈第8回ミステリーズ!新人賞〉の選評は『ミステリーズ!』vol.49に掲載されています。
 次回〈第23回鮎川哲也賞〉は平成24年10月末日〆切、〈第9回ミステリーズ!新人賞〉は、平成24年3月末日〆切となります。皆さまのご応募をお待ちしております。
(2011年12月15日)

●前年の鮎川哲也賞・ミステリーズ!新人賞レポートを読む
●翌年の鮎川哲也賞・ミステリーズ!新人賞レポートを読む